牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

FRBの追加緩和で日銀も動くのか

 FRBは9月13日のFOMC後に発表した声明で、雇用の伸びは緩慢で、失業率は依然として高止まりしているとして追加の緩和策を発表した。まず、住宅ローンを担保にした証券であるMBSを毎月400億ドル追加購入することを表明した。

 6月に発表した通り保有証券の平均残存期間を長期化するプログラムは「今年末」まで継続し、政府機関債とMBSの元本償還資金をMBSに再投資する政策を維持することにより、長期証券保有は今年末まで毎月約850億ドル増加する。

 物価安定の下で労働市場の改善が実現できるまでMBSの購入を継続し、さらに追加の資産購入を実施するとともに、その他の政策手段を適宜活用する。つまり今回のMBSの買入はオープンエンド型となる(無期限)。

 さらに超低金利政策を据え置く時期を、2015年半ばまでとして時間軸を延長させた。これにより、およそ2年ぶりに量的緩和に踏み切るとともに、時間軸の強化を図ってきたことになる。

 今回の政策は市場ではすでにQE3と呼んでいるが、その買入は国債ではなくMBSとなった。直接的に長期金利の低下に働きかけるというよりも、住宅ローンを担保にした証券であるMBSを買い入れることで住宅市場に働きかけ、ここから雇用の拡大に影響を与えようとしたものと思われる。

 前回のFOMCでは米国債やMBSの市場機能を阻害するのではとの懸念が示されたが、連銀スタッフは機能を阻害せずに買い入れる余地はまだあるとの分析を行っていた。 しかし、いずれFRBのバランスシートを正常化させる際に詐害要因になるとの懸念も示され、数人の参加者からは中期的なインフレ期待を引き上げてしまうのではないかとの懸念も示された。

 それにもかかわらず今回、MBSの買入に踏み切ったのは、バーナンキFRB議長がジャクソンホールで雇用市場の停滞は特に深刻な懸念事項だと発言していように、雇用の回復が重視されたためとみられる。ただし、FRBが直接雇用に働きかける手段は持っておらず、そのため国債よりも直接住宅投資に働きかけやすいMBSの買入に踏み切ったものと考えられる。

 自ら追加緩和を臭わせて市場の期待を醸し出して、その期待は結果として裏切られなかったことで、これは米株式市場には好感された。しかし、12日の米国債券市場では短期債は買われたものの、30年債は売られた。米国債の買入期待もそれなりにあったものと思われる。

 米国債もしくはMBSの買入という切り札は、大統領選挙やその後の財政の崖問題もあり、切り札として温存しておくかと思われたが、バーナンキ議長は早めに手を打ってきた。それだけ中央銀行に向けられた期待感も大きかったこともあろうし、ECBによる国債買入とタイミングを合わせたことで、世界経済への回復まで意識した動きのように感じられる。早めに手を打ったのは、むしろ大統領選挙を見据えて、共和党のロムニー候補がFRB議長は再指名せずと発言し、ライアン副大統領候補も追加緩和策は悪い考えとの認識を示したことなどを意識した可能性も指摘されていた。

 今回のECBとFRBの追加緩和により、為替の動き次第にかかわらず、日銀も何らかの手を打った方が良いのかもしれない。民主党の代表選や自民党の総裁選も控えているが、総選挙を見据えて、日本の政治は当面機能停止に陥る懸念もあり、このためECBやFRBとともに、日銀も景気回復に向けての協調姿勢見せれば、市場はそれを好感しよう。また直接関係はないものの、10月にはIMFの年次総会が日本で開催されることで、日本の政策そのものにも注目が集まろう。そのための追加緩和というわけではないが、協調性も意識すれば、9月18日~19日の金融政策決定会合は良いタイミングとなるのかもしれない。これは実質的な効果はさておき、あくまでアナウンスメント効果を意識しての話ではあるが。ただし、日銀の白川総裁は円高是正のため「劇場型金融政策」を求める声に対し「サプライズは長続きしない」として否定的な姿勢を示しており、この意味では追加緩和の可能性はそれほど高いわけではない。

 「お知らせ」、9月20日に秀和システムより
>「ポケット図解 日本銀行の仕組みがわかる本」
の最新版が発売されます。中央銀行の金融政策についてやさしく書かれた本はあまりみあたりません。しかし、日銀をはじめFRBやECBの金融政策の動向はますます注目が集まっています。中央銀行の基礎知識とともに最新の動向をさらっと確認しておけば、あなたも今日から日銀通に。アマゾンなどで予約受付中です。


*** 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ、通称、牛熊メルマガでは毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。毎営業日3本届いて、価格は税込で月額1050円です。登録申込当月分の1か月は無料でお読み頂けます。ご登録はこちらからお願いいたします。

BLOGOS版「牛さん熊さんの本日の債券」
まぐまぐ版「牛さん熊さんの本日の債券」

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2012-09-16 09:28 | 中央銀行 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31