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マーケット・サバイバル術、確証バイアスを利用せよ

 以前に「マーケット・サバイバル」という本で以下のようなことを書いた(現在、「マーケット・サバイバル」の内容は同じパン・ローリング社の「日本国債先物入門 [改訂版] (現代の錬金術師シリーズ)」に収められている)。

 「相場に臨むにあたって、ポジションを持っている状態と持っていない状態でも相場に対する見方が異なることも注意しなければならない。いったんポジションを持つと自分のポジションを正当化する情報ばかりに目がいくようになってしまいがちである。これでは普段の冷静な見方ができなくなる恐れがある。」

 これは自分のディーラー時代の経験を元に書いたものであったが、このような現象は社会心理学や認知心理学で「確証バイアス」と呼ばれることをあとから知った。確証バイアスとは自分が聞きたくない情報を無視もしくは軽視し、自分の先入観を裏付ける情報を重要視してしまう現象を指す。確証バイアスによって人は信念を獲得し、その信念を確証するものを探そうとする一方、信念に反することがらを探すのではなく黙殺したり、あるいは低い価値しか与えなかったりもするとされる。

 相場にあたって、この確証バイアスによる弊害を取り除く必要もあり、その方法として、マーケット・サバイバルでは下記のような指摘をした。

 「自分の相場勘が当たり、評価益が膨らんでいる状態では、利食いゾーンを模索するため、ある程度の冷静さは保てる。だが、問題は評価損が膨らんでいる場合であろう。ここで必要なのは損切り、つまりロスカットルールを設けることである。」

 相場に関わる人にとり、当たり前のことであり目新しい方法ではないが、自分の信念により利益が出れば良いが、それにより損失が膨らむばかりとなる懸念もあり、それには機械的にポジションを切り、損失を確定してしまうとともに、冷静さを取り戻すことが重要となる。

 確証バイアスは個人の相場観では取り除かねばならないが、全体の相場に影響していることも多く、これはむしろ利用する必要もある。個々の市場参加者ばかりでなく、市場そのものが「確証バイアス」を持っている場合である。現在でいえば、FRBがQE3を行うであろう、といったバイアスである。これはもちろんバーナンキFRB議長の発言などを通じてマーケットが勝手に予想したものであるが、バーナンキ議長がそのようなバイアスを仕向けたとも言える。このため例えば、米雇用統計で非農業雇用者数が予想を下回ると、そのバイアスが強まることになる。

 相場そのものに、このようなバイアスが掛かることは多い。これはマスコミも影響していると思うが、ある特定の材料にバイアスが掛かるとそれに関する関係者の発言や、それに関わる経済指標の動向ばかり重視され、これが短期的な相場変動の要因になり、本来、他の要因にも影響を受けるはずのものが無視されるなり、軽視される。これも人間が形成する相場である以上、致し方ない部分はあるが、確証バイアスが掛かっているであろうことは常に認識すべきかと思う。確証バイアスゆえに相場がおかしい、と見えるときがあろうが、これも相場であり、そこで儲けを得るには、そのバイアスをうまく理由することも重要になってくると思われる。


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by nihonkokusai | 2012-09-08 09:53 | 投資 | Comments(0)
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