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日本政府は戦後初の予算執行抑制を実施か

 8月29日に参議院で野田総理大臣に対する問責決議が可決されたことで、赤字国債の発行に必要な特例公債法案の今国会成立は絶望的となった。特例公債法案が審議未了のまま廃案となった場合には、政府は秋の臨時国会に再提出し、成立を目指すそうである(時事通信)。

 今年度予算のうち税収や税外収入は46.1兆円、これに建設国債5.9兆円を合わせれば、50.2兆円の財源は確保できるが(財政法第四条に基づいて発行される建設国債は予算が通れば発行できる)、歳入の4割強を占める赤字国債38.3兆円は特例公債法案が成立しなければ発行できない。

 資金のやり繰りのため財務省証券の発行をすればなんとかなるとの見方があるかもしれないが、国債発行はむやみに発行されないように法律に基づいており、確実な財源が見込まれない中での自転車操業のような財務省証券の発行は認められない。

 財務省によると公共事業などの建設国債発行対象を除いた9月末の支出見込み額は39.3兆円。これに例年の10月の平均的支出額約5兆円を加えると約45兆円に達するという。特例公債法案が成立しないとなれば、38.3兆円分の執行ができなくなる。このままでいけば10月中にほぼ財源が底をつく計算になる。もしそうなった場合には、支出を厳しく抑える必要がある。

 このため政府は特例公債法案の成立まで、「予算執行を抑制する」方針を固め、来月、全国の地方自治体に支給する地方交付税およそ4兆円の減額や、政党交付金の支給を遅らせるほか、国立大学への交付金といった、いわゆる補助金を半減する方向で、調整を進めることになった。予算の執行抑制が実施されれば、戦後初めての異例の事態となる(NHK)。ただし、生活保護など社会保障や、国債の償還・利払い費などを含む国債費は対象外となる見通しのようである。

 地方交付税交付金の16.4兆円は4月と6月、9月、11月に分割して支払われているが、9月4日とみられていた4.1兆円の支払いの一部が先送りされる公算が大きいとされる(ロイター)。

 予算執行の抑制策については、安住淳財務相がその基本的な方針を31日に示す方向で調整が進んでいるそうである。

 米連邦債務の法定上限引き上げをめぐる協議も年中行事となってしまった感があるが、日本でもねじれ国会となる中、特例公債法案の行方は今年もまた綱渡りの状態となり、ついに戦後初の予算執行抑制の実施を招く結果となってしまうようである。

 特例公債法案が廃案となり、政府があらためて秋の臨時国会に再提出し、成立を目指すといっても、成立の目途が立っているわけではない。野党も選挙を意識して特例公債法案を人質にとる可能性がある。そうなると政府機関の一時封鎖(シャットダウン)等も意識され、国債市場にも影響を及ぼす懸念がある。格付け会社なども動きを見せる懸念もある。

 特例公債法案を政争の具にするには、あまりにリスクが大きいことを認識すべきだが、どうも与野党ともに、それよりも選挙の方が重要であるようである。国債市場は盤石との過信は禁物である。市場参加者のセンチメントが変わると、相場は激変する懸念がありうる。そのあたりも政治家の方々にはしっかり認識してほしいと思うのだが。


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by nihonkokusai | 2012-08-31 09:32 | 財政 | Comments(0)
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