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ドイツのESMの違憲判決とECBの新たな国債買入策の関係

 報道によると、ECBのドラギ総裁は、9月12日にドイツの憲法裁判所が恒久的な救済基金である欧州安定化メカニズム(ESM)の合憲性をめぐる判断を下した後に、ECBによる国債買い入れ計画の詳細を発表する見込みだと伝えられた(ブルームバーグ)。

 欧州金融安定ファシリティー(EFSF)に代わるESMはドイツで違憲性が問われたことから、7月に予定されていた本格稼働が遅れている。

 EFSFとは「European Financial Stability Facility」の略で、日本語では「欧州金融安定基金」とも呼ばれているものである。この欧州金融安定基金は、2010年5月のギリシャ危機を踏まえて、EU(欧州連合)の加盟国によって合意されたユーロ圏諸国の資金支援を目的とした基金である。ルクセンブルクに本部を置き、株式会社として登録されている。ただし、2013年6月までという期限が設けられ、その後は恒久的な危機対応の機関として、2013年に欧州版のIMFともいえるESM(欧州安定メカニズム、European Stability Mechanism)がEFSFの業務を引き継ぐ予定となっていた。

 ESMの発足には出資比率で9割の国の批准が必要となり、6月29日にドイツ連邦議会はEFSFの機能拡充案を賛成523票、反対85票で可決した。ところが、野党議員や学識経験者などが、他国を救うために税金を投入する権限は議会に与えられていないとして提訴した。ESMについて国内法に反するとして訴訟を起こしたのである。このため大統領の署名は見送られ、憲法裁判所が合憲か否か審議する事態となり、その発表は9月12日に持ち越されたのである。

 ただし、ユーロ危機が渦巻く中にあり、その影響の大きさから見て、違憲判決が下される可能性は低いとされる。しかし、ECBによる国債買い入れについては、この判決を確認したのちに正式に発表されるとみられる。

 これは前回のECBによる流通市場における国債買入(証券市場プログラム、SMP)と異なり、今回のECBによる新たな国債買入計画には明確な条件が付けられているためである。国債買入の対象となる国は、まずユーロ圏諸国に対しEFSF・ESMによる支援を要請し、その支援を受けるための財政再建等に取り組む必要がある。つまりECBによる国債買入を実施するには、対象となる国がEFSF・ESMによる支援を受けることが前提となる。

 このため9月6日のECB政策理事会では、国債買い入れ計画の詳細までは明らかにされないのではなかろうか。ESMが仮にドイツで違憲となれば、最大の出資国であるドイツによる出資が不透明となりかねず、このためECBは判決を確認した上で、もちろん合憲判決が前提だが、新たな国債買入策の詳細を発表するものと思われる。

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by nihonkokusai | 2012-08-30 09:16 | 中央銀行 | Comments(0)
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