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日本国債の実勢価格の算出の仕方

 債券の中でも売買高が多く、取引の中心となっている国債の価格や評価額はどのように算出されているのかご存じであろうか。国債はどこかの取引所で株のように売買されて、その利回りが長期金利としてニュースで発表されているわけではない。たしかに債券先物(長期国債先物、JGB先物)は東京証券取引所で売買され、その価格は株価と同様にひとつであり、引け値や清算値ははっきりしている。ところが、肝心の現物国債は店頭取引、つまりは業者と投資家が直接相対で取引しているものである。

 数百兆円もの残高のある国債の評価額は、大量に保有している銀行や生保、年金、日銀等々の資産価値に大きな影響を与えることになる。しかし、個別の取引価格等は顧客との守秘義務もあり、外部に発表する必要はない。このため、この評価については、日本証券業協会が発表する公社債店頭売買参考統計値、もしくは日本相互証券(BB)の発表する国債価格が使われる。国債は金利商品であり、利率や償還日の違い等で価格で比較ができないため通常の比較には利回りが使われる。その利回りから価格が算出される。どちらも、複数の証券会社(日本証券業協会は21社、BBは18社)からの報告された15時を基準とした価格をもとに、(その中の上下を割愛して)平均値を算出したものである。また、日本経済新聞や野村証券等が共同で開発した債券標準価格(JS Price)も使われているようである。このあたりは使い分けがなされているようで、基本的に相場の居所を確認するには日本相互証券(BB)の利回り(価格)が参考にされるが、財務上の評価等を算出するには日本証券業協会が発表する公社債店頭売買参考統計値が使われることが多いようである。また、年金などのインデックス運用などを行っているところを中心に、また社債などの価格をチェックするためとして、債券標準価格(JS Price)が使われることもある。

 日本相互証券(BB)に関しては、「一定の基準により選定した主要顧客および当社のデータに基づき算出した午後3時時点における国債価格」としているように、現物の取引利回り(価格)については、業者と業者がポジションの調整として利用している日本相互証券での取引価格が市場での大きな目安となっている。こちらの気配はBBの端末を持っているところはどこでもチェックができる。ただし、売り買いをどこが提示したり、行っているのかは画面上ではわからない仕組みとなっている。カレント物と呼ばれる直近に入札のあった国債については、かなり頻繁にこのBBで取引されているため、これが大きな目安となる。相場の上げ下げ、方向性については債券先物でチェックができるため、債券先物とこのBBでの現物の値動きから、おおよその債券相場の動向とともに、国債価格の居所を確認することが可能となっている。

 ただし、国債には利率や償還日が異なれば銘柄が違う。すべての国債がいつも売買されているわけではない。むしろ売買されている銘柄の方が少ないぐらいである。流動性の低い銘柄の場合の報告値段は各業者(証券会社)の推定実勢になる。つまり、イールドカーブ(縦軸に利回り、横軸に期間を目盛りにとったグラフ)の形状等からその期間の利回りの居所を探り、さらに発行量や利率等も参考にして各業者が推定した価格(利回り)を報告することになる。その結果、同じ銘柄の公社債店頭売買参考統計値とBB国債価格にバラツキ等が出ることもある。

 このように流動性の高い国債といえども、実勢価格については各業者による投資家との売買価格がひとつの基準にはなるものの、現実にはそれに加えBBの価格動向やカーブの情勢、債券先物の動向等々を意識して各銘柄の推定価格を各業者が提示していると思われる。

 国債の実勢価格については、現実の利回り動向が日本相互証券の画面でも確認できることで、外部から見ても基準値がおかしいかどうかを判断しやすいため、LIBORの不正操作のようなことはしにくい面がある。さらに複数の基準値の存在で、チェック機能が働く面もあるかもしれない。

 LIBORの不正問題についての対応を考えるにあたっては、出合った金利そのものが外部で確認できるような工夫も求められるのではなかろうか。また、使われる基準値について英国銀行協会の数値だけが使われている点にも問題があるのかもしれない。


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by nihonkokusai | 2012-08-15 09:59 | 国債 | Comments(0)
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