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米国の財政の崖とは何か

 7月9日の日銀、白川総裁は会見の中で、米国経済に関して次のような発言をしている。

 「いわゆるfiscal cliff(財政の崖)の問題を反映し、財政政策の先行き不透明感が強い状態が続いており、その回復力に引き続き注意が必要です。」

 今年に入り、バーナンキFRB議長は「fiscal cliff」という言葉を使うようになり、メディア等でも注目されるようになった。また、格付け会社も注目しているようで、6月にS&Pは財政の崖の回避に期待するとのコメントを出している。

 「fiscal cliff(財政の崖)」とは、かなり昔から使われていた用語であるようで、特定の時期に何らかの事情で緊縮財政となり、これによる雇用を中心とした景気への悪化が予想される状況を示す。

 今回バーナンキ議長が示した「財政の崖」とは、今年末に所得税などに対する大型減税策、いわゆるブッシュ減税が期限切れとなることに加え、2011年にアメリカの債務上限が問題視された際に2013年1月からの強制的な予算削減が決まっており、この減税の期限切れと歳出の自動削減による急激な財政引き締め状態に陥ることを示す。この影響は米GDPの約4%にも達するとみられており、米議会がこの急激な財政引き締めを緩和しなければ、米景気そのものが崖っぷち状態に陥る懸念が出ているのである。

 米国にとっても今後の緊縮財政策は避けられないものの、あまりに急激な削減は景気に悪影響を及ぼしかねない。米議会では共和党も民主党も「財政の崖」はなるべくなだらかものにしようとの見方では一致しているようであるが、両党の考え方そのものには大きな隔たりが存在しており、ねじれ議会の問題が崖として立ちはだかる可能性がある。

 11月には米大統領選挙と議会選挙が控えており、その結果次第では、財政の崖を回避するような動きが強まるのではないかとの期待もある。しかし、それでも残された時間は限られている。さらに米国の債務は、大統領選が実施される11月から年末にかけて再び法定上限に達する見通しともなっている。「財政の崖」の緩和を巡る駆け引きに、債務上限引き上げ問題が絡み、米政府の資金繰りが問題視される懸念も出ている。

 米国の財政の崖については、事前にこれだけ警戒され、バーナンキ議長も警告を発している以上は、大きなショックは回避されるとみられる。市場でも警戒はしているが、それを材料に米株などを売るような環境でもない。崖が発生する可能性は現状、それほど高くはないであろうとの希望的観測も働いているのかもしれない。ただし、その動向そのものが一時的な材料視されることもある。年末までのスケジュールを見ると、途中、ハラハラさせられる場面もあるかもしれないことで、今後もfiscal cliff(財政の崖)の問題は注意して見ておく必要がありそうである。

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by nihonkokusai | 2012-08-14 09:37 | 財政 | Trackback | Comments(0)
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