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FRBの次の手とそのタイミング

 7月31日から8月1日に開催したFOMCにおいて、政策金利であるフェデラルファンド金利の誘導目標を0~0.25%に据え置いた。QE3とか超過準備の付利の引き下げもなく、超低金利政策の継続期間についても2014年の後半までとの表現を据え置いた。  FOMC後に発表された声明文では、景気認識について、前回の「今年の景気は緩やかに拡大する」から「今年の前半を経過した時点で経済活動がやや減速している」と下方修正している。

 さらに声明文では、「必要な時に適切な追加の緩和策を行う」として、前回の「さらなる措置を適切な時に行う用意がある」との表現からやや踏み込んだ格好となった。

 これにより9月12日から13日にかけて開催されるFOMCでの追加緩和期待も強まったようである。果たして9月の追加緩和の可能性はどの程度あるのか、またその手段はどのようなものがあるのか。

 その手段としては、7月17日のバーナンキ議長の議会証言の内容からある程度推測が可能となる。

 議会証言でバーナンキ議長が示唆した追加緩和として、米国債やモーゲージ担保証券(MBS)などの追加債券買い入れ、つまりQE3。そして、連銀窓口貸出や超過準備金利引き下げ。さらに時間軸の強化、つまり超低金利政策の継続期間についていつまで続けるかの予想期間の先延ばしがある。

 このうち市場が最も期待しているのはQE3であろうが、この手段はFRBとしては最後の有力カードとして温存していたいものと考えられること以上に、いくつか実現を難しくさせる理由が存在する。

 そもそもQEの目的は長期金利を低下させ、住宅投資を活発化させるものであろうが、すでに米国長期金利は歴史的低位水準にあるとともに、住宅市場に関してはやや回復基調ともなっており、ここで無理にQEを行う必要性はない。アナウンスメント効果を意識しても、すでに国債市場にかなり踏み込んでしまっており、余程の事態とならぬ限りは、QE3については実現性はかなり低いのではないかと思われる。技術的な問題としてツイスト・オペを実施している中での、追加債券の買入も難しい面がある。

 次に連銀窓口貸出や超過準備金利引き下げであるが、7月5日に開催されたECB政策理事会で、預金ファシリティ金利をゼロ%としたことで、FRBが超過準備の付利引き下げを行うのではとの思惑もある。しかし、日銀は市場機能を維持させるため、付利を引き下げることはしないとみられるのと同様に、バーナンキ議長としても付利の引き下げ効果と付利を維持することでの市場機能維持を秤にかければ、付利の維持を選択するのではないかと思われる。

 このため、予想される緩和策としては9月のFOMCでは、経済物価情勢見通しも発表されることで超低金利政策の継続期間の予想をさらに引き延ばす、いわゆる時間軸強化あたりにしておくのではないかと考えられる。これもあくまでアナウンスメント効果でしかないが、市場からの追加緩和期待に応えなければならないとすれば、このあたりの選択となる。ただし、これにしてもあくまで約束ではなく予想である。しかも、先に延ばすほど、現在行っている緩和策の効果はないことを自ら明らかにしてしまいかねない。この選択肢もなかなか難しい面がある。

 11月には米国では大統領選挙が予定されていることで、現政権に有利とされるような政策はその直前には行いづらい。つまり、10月23日から24日にかけてのFOMCでは、余程のことがない限り政策変更が行いづらい。このため、早期に市場の期待に応えておくのであれば、9月のFOMCでしかない。ただ、9月のFOMCで時間軸強化あたりでお茶を濁すのであれば、むしろ何もせず先々の追加緩和の期待をつなぎ止めておくだけという手段もありうるのではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2012-08-03 09:52 | 中央銀行 | Comments(0)
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