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議事録にみる日銀が国債買い入れオペ対象を拡大した理由

 日銀は31日に金融政策決定会合議事録等(2002年1月~6月開催分)を公表した。

 2002年1月に日銀は国債買い入れオペ(輪番オペ)の対象を、それまでの発行後1年以内のもの(1年ルール)から、発行年限別の直近発行2銘柄を除くに拡大しているが、2002年1月15、16日の金融政策決定会合議事録から、その理由を探ってみたい。まず当時の和田企画参事官からの説明があり、その部分を見てみたい。

 「国債買入オペについては、実質的な中央銀行による国債引受との見方を排除するために、国債売買基本要領において、買入対象から、発行後1年以内のものを除いている。・・・この1年ルールは昭和42年の国債買入開始時から導入しているが、最近、国債の発行市場・流通市場は格段に整備されてきている。また、この1年ルールの存在に加え、先物割安銘柄を除外しているため、長期ゾーンの買入対象は事実上残存8~9年の銘柄のみであり、中短期ゾーンに比べて著しく対象銘柄が少ないといったマイナスの影響が生じている」

 これについて解説すると、日銀は資金供給手段のひとつとして国債の買入を1967年2月から始めているが、買入対象については国債の日銀引受との見方を避けるため、買入対象から、発行後1年以内のものを除くという「1年ルール」を設けた。さらに債券先物のチーペースト(現渡し可能な再割安銘柄でこの価格が先物に連動、通常残存7年の10年債)を買い入れて流通玉を減少させてしまうと、先物の踏み上げが生じるリスクがあるため、それも除いての買入を行っていた。

 国債市場が整備され、活発な取引が行われている中で、1年ルールがあると特に10年債の対象銘柄が少なくなっていたことで、その拡大を図ることが大きな目的であった。

 「新たなルールとして、発行年限別の直近発行2銘柄を除くものにしたいと考えている」(和田企画参事官)とあるが、なぜ直近発行2銘柄を除くにしたいのかという理由としては、「取引が活発でペンチマークを形成している発行直後の銘柄を、対象銘柄から除けば、ベンチマーク銘柄について市場での価格形成を歪める惧れはないと考えられる」としている。つまり、なるべく対象銘柄を拡大したいが、カレント物とも呼ばれる直近発行銘柄への影響を考慮するとともに、直近発行2銘柄を除くということで国債引受との見方も排除することも意識されたものとみられる。

 「新ルールに移行した場合、買入対象銘柄の市中発行残高は、金額ベースだが現状比3割強の増加となる」(和田企画参事官)

 これに関する政策委員の反応は、中原伸之審議委員が、「国債の購入がやりやすくなって機動的なると思う」とコメントしている。田谷委員、三木委員なども賛成し、実際の採決でも全員一致で賛成としている。

 このように日銀が国債買い入れオペ対象を拡大したのは対象銘柄を増やすことが目的であり、日銀執行部が事前に用意した内容で意外にあっさりと決められていた。政策委員などから、日銀による国債の直接引受に近づくといったような懸念は示されていなかった。銘柄は拡大されても、国債の買入と直接引受では明確な違いがあるとの認識によるものであろうか。

 米国でもFRBは資金供給手段の手段として米国債の買い切りを直近発行銘柄を除くという条件付きで行っている。さらに日銀はすでにTB(現在はTDB)の買い切りなど行っており実際に1年というルールが必要かとの問題もあり、1年ルールの撤廃を求める声も強かったことなども、1年ルール撤廃の要因であったとみられる。

 ちなみに、国債売買基本要領では「発行後1年以内のもののうち発行年限別の直近発行2銘柄を除く」と、「発行後1年以内のもののうち」との表現が残っているのは、当時すでにすでに発行が停止されていた4年国債や6年国債の2銘柄が恒久的に対象から外れることになるため、1年以内という文言が残されたそうである。

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by nihonkokusai | 2012-08-01 09:46 | 日銀 | Comments(0)
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