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相場で何か違和感を感じたときには

 違和感を感じるか感じないかは、ある程度の経験や知識が必要となる場合もあるが、直感的に何かおかしいと感じる場合もある。相場の世界においても、この違和感を感じた際には、何がおかしいのかを早めに確認することも重要である。

 ロンドン・オリンピックの開会式でインド選手団の入場の際に、インド選手のユニフォームを着用せず1人だけ赤色の上着と青色のパンツという出で立ちで行進していた女性がいたことに気が付いたであろうか。この女性はインドの選手やコーチ等ではなく、ショーの出演メンバーが紛れ込んでいたそうで、セキュリティの甘さなどが指摘された。

 この女性は特に関係者に止められる様子もなく堂々と行進していた。しかし、大会関係者は早めに気づいて対処すべき問題であったはずである。一般人が紛れ込むことはありえないとの自信からか、そのようなチェックが行われなかったのであろうか。ただし、全世界の何億人もの人はその女性への違和感は感じていたはずである。

 相場の世界でも、このような違和感を感じたときには何かしらの対処が必要となる。何かおかしいと感じたときには、その理由を確認するとともに、仮にそれにより相場が変動する可能性を感じたならば、できうる限りの対処を行うことも必要であろう。

 2003年6月の国債相場は自分でもいろいろと反省すべきことがあった。これは自分の書いたものでもその痕跡が残っている。

 2003年6月4日のコラムでは、「現在10年国債の利回りは0.5%にまで低下している。これはもちろん歴史的な低利回りである。この国債相場に対して懸念する声も強い。また国債の価格の上昇による売買益などは無視して、国債が急落したらどれだけ損失が発生するのかといった見方しかできないようにすら思える記事なども見受けられる。1%金利が上昇したら銀行保有の国債はどれだけ損失が発生するのか計算するのは簡単である。しかし、それ以前に1%金利が上昇するという根拠を述べてほしい。」と書いていた(債券ディーリングルーム、2003年6月4日の「若き知」より) 。

 ちなみに債券相場がピークアウトするのは、これからわずか1週間後である。しかも、それからしっかり1%程度長期金利は上昇することになる。見事な相場観(?)としか言いようがない。

 ところが6月9日にはこんなことを書いていた。「災害も警戒している時には起きることなく、忘れたころに起きる。相場の格言に「まだはもうなり、もうはまだなり」というのがある。もうこんなに買われているなら下がるはず。ところがいっこうに下がらない。・・・最近の株価の戻りは一時的なものと見ている人が多い。米国株に追随しているだけとの見方も強い。・・・経済指標も決して景気の回復を示すものはない。ないが株が下げなくなったのは何故なのか。誰か無理に買っているわけでもないようである。」と株の反発に対して、一種の違和感らしきものを感じていた様子があった。

 「大きな流れが変わりつつある兆候と言えなくもない。その動きはたぶん目に見えないものであろう。しかし、株価がその兆候を捕らえているとしたらどうなるのか。今回も結果として株は一時的な反発に留まるかもしれない。だが、このようなちょっとした兆候みたいなものは常に気をつけなければならない。」(債券ディーリングルーム、2003年6月9日の「若き知」より)

 どうやらこのあとのVARショックと呼ばれる国債価格の急落に対しては、ピークアウトする近くまで妙な強気でいたものの、寸前になり株価の動向がちょっと変だとして警戒心を強めていた。これは寸前になって予感が当たったとかを自慢したいものではなく( ?)、このような違和感を元にしての兆候の変化をかぎ取ることも、リスク回避には必要ではないかと思った次第である。

 そういえば、1998年末の運用部ショック(国債価格の急落)の際にも、日経新聞に出た小さな囲み記事に違和感らしきものを感じていた市場参加者も多かったはずであり、これがひとつの発端となった。当時の資金運用部が国債市場でどのような存在であり、そこの国債運用に変化が出るということは何を意味するのか。その結果はのちに国債価格の急落という運用部ショックとして現れた。

 今回の欧州の信用不安によるドイツやフランス、さらに英国やスイス、そして米国の長期金利の低下は、国債のバブル相場となっていることは確かではなかろうか。これについては「買われる理由があるため買われている」のであろうが、過去最低の利回りの更新が続く様子は、2003年6月までの日本国債の動きに近いものがある。

 いずれこの大きな反動がくるであろうが、それが何をきっかけにくるのかはなかなか予想しづらい。この兆候が、たとえば株価の動向などから読み取れることができるのかもしれないが、これもわからない。

 しかし、相場の動きに何か違和感を感じたら、それはしっかりチェックしておく必要がある。もし今回のオリンピック開会式でのインド選手団に紛れていたのがテロリストであったとしたら、たいへんな事態となる。この場合、主催者による迅速な対応があれば、大きなリスクの芽を、とりあえず押さえ込むことも可能となる。同様に相場変動の兆しを何かしらの動きで感じた際には、取り得ることが可能な範囲での対処する必要があり、それにより少しでもリスクを軽減、もしくはそれに乗じて利益を得ることも可能となる。


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by nihonkokusai | 2012-07-31 10:01 | 債券市場 | Comments(0)
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