牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

「量的緩和というモルヒネ」

 最近、NHKのBSで「コンバット」が再放送されている。現在、昭和30年台が再びブームになっているが、このコンバットが最初に放映されたのは昭和37 年である。私の両親もコンバットが大好きで、私も一緒になって見ていた記憶がある。このコンバットの中での「チェックメイト、キングツー」といった合言葉とともに、「モルヒネ」という単語が強く私の印象に残っていた。第二次世界大戦当時、モルヒネは戦闘で傷ついた重傷者のための鎮痛剤として使われていたようである。モルヒネは劇薬であり麻薬であるが、現在でも通常の鎮痛薬で抑えられない痛みに対して使われている。

 前置きが長くなったが、バブル崩壊後、金融システム不安やデフレなどの解消などのため、公的資金の導入に加えて、異常とも言える日銀の金融政策でこれまで日本経済を支えてきた。しかし、そういった異常事態があらゆる面で解消に向かいつつあることは誰の目にも明らかとなりつつある中、日銀も類を見ないほどの異常な金融政策である量的緩和政策の解除に向けて一歩踏み出そうとしている。

 日銀の政策委員でもある西村氏は、かつて「モルヒネを打ちながら日本経済は非常に大きな困難を乗り越えてきた」と表現していた。その上で、「モルヒネは劇薬だからいつかはやめなければならない」ともコメントしていた。

 この量的緩和というモルヒネの作用のひとつに、長期金利を低位安定させておくというものがある。短期金利をゼロに押さえ込むとともに、解除に向けての条件をつけることで時間軸効果を生み出すことで可能となった。

 この長期金利の低位安定は、巨額の国債発行を担当しさらに莫大な債務を管理しなければならない財務省にとってもたいへん好都合であったものと思われる。むろん、長期金利の低位安定には財務省の国債管理政策が適切に運営されていたという側面も見逃せないとともに、小泉首相の掲げた財政構造改革路線といったものも国債の信用度を維持させたものと見られる。

 しかし、経済が異常な状態から脱しつつある中にあり、モルヒネの使用は早く控えるべきである。そしてまたモルヒネは増税を主体とした財政構造改革には使用すべきものではないと考える。まずは徹底した歳出の見直しを図るべきであり、国民が納得できるだけの歳出削減が可能となったあとに増税を考えても良いのではなかろうか。

 プライマリーバランスの均衡化という錦の旗のもとに、構造改革の進展の阻害要因にもなりかねない安易な増税を図ることについては、国民の理解は得られないものと思われるし、それを日銀が異常な政策を続けることで側面支援すべきものでもないと思う。
[PR]
by nihonkokusai | 2005-11-14 11:28 | 日銀 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー