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日銀の様々な選択肢とは

 18日に6月14、15日に開催された日銀の金融政策決定会合の議事要旨が発表された。この中から特に「当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要」のところを確認してみたい、

 「日本銀行は、成長基盤強化を支援するとともに、強力な金融緩和を推進しており、引き続き適切な金融政策運営に努めていくという方針で一致した」とある。

 この場合の強力が金融緩和とは、たとえば基金による資産買入等を進めることによって緩和効果を計るものである。市場ではどうしても追加の緩和策がなければ、緩和していないようなイメージではあるが、基金を増額したとしても、それが実施されるのは時間をかけてであり、さらにその効果が出るのもまた時間が掛かるといわれる。

 それから考えれば、7月12日の金融政策決定会合で決められた基金による買入オペの見直しの方が実際の緩和効果を高める可能性がある。これにより短国の利回りが大きく低下することは考えられないものの、短国の需給にはそれなりの影響を与えることが考えられ、実際の緩和効果が発揮される可能性もありうる。追加緩和の有無ばかりでなく、強力な金融緩和策が続けられているということそのものを認識する必要もあろう。

 ちなみに日銀は、通常の長期国債買い入れ、いわゆる輪番オペについても札割れを回避するとの目的から、残存期間1年以下を対象に0.1%の下限金利を撤廃した。

 「複数の委員は、欧州債務問題を起点として大きなリスクが顕在化した場合などには、わが国に色々なルートで悪影響が及ぶ可能性があるため、様々な選択肢を予め排除することなく、適切に対応できるよう備えておく必要があると述べた。」

 この場合の様々な選択肢というものが難しい問題となる。短国も含め基金の増額もしくは買入対象資産の条件変更、超過準備の付利撤廃、通常の国債買入の増額などがありそうだが、基金の増額以外の可能性はあまり高くはなさそうである。

 超過準備の付利撤廃については、今回の基金オペの一部変更により、さらにその可能性は後退したと思われる。白川総裁は量的緩和を行った際の状況を踏まえ、短期金融市場の機能を失わせることになる付利撤廃については当面の選択肢には含まれないと予想される。通常の国債買入の増額については、むしろ基金による買い入れる国債の条件を変えることで対処してくるのではなかろうか。

 「複数の委員は、欧州債務問題への懸念が直ちに解消することはないとしても、いずれ問題への対応が進むとともに、安全資産への需要が減少する可能性があり、その場合には、米国、ドイツやわが国の長期金利が、反動で上昇する可能性があると指摘した。」

 すでにドイツなどの2年債利回りがマイナスになるなど、比較的安全とされる国債への資金集中はバブルの様相を示しているように思われる。それに対して日本では2003年の国債利回りの歴史的低水準からの急反発を経験していることで、欧米の国債に比べれば、その利回り低下はかなり慎重となっている。それでも日本の長期金利は0.8%を割れている。国債がここまで買われるには当然ながら理由が存在し、反対に売る理由が見当たらない。これはこれでバブルであることを意識させるものであり、長期金利が反動で上昇する可能性については常に意識しておく必要はあろう。

 「固定金利オペで応札総額が買入予定額に満たない「札割れ」が頻発していることについて、多くの委員は、札割れは強力な金融緩和が市場に浸透していることのひとつの表れであるものの、基金の残高を予定通り積み上げられるよう、引き続き金融調節部署はオペ運営面での工夫を講じていく必要があるとの認識を示した。」

 この結果、7月11日、12日の金融政策決定会合において、オペ運営面での見直しが行われ、固定金利方式・共通担保資金供給オペを5兆円減額し、その分、短期国債買入を5兆円増額し、さらに、短国やCP買入の入札下限金利の0.1%を撤廃するなどしたのであろう。

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by nihonkokusai | 2012-07-19 09:19 | 日銀 | Comments(0)
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