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超過準備の付利引き下げの可能性が後退、追加緩和カードは増加

 7月12日の金融政策決定会合で、日銀は基金を通じた期間の組み替え等を行った。つまり、固定金利方式・共通担保資金供給オペ等で未達となるケースが多く出てきたことから、固定金利方式・共通担保資金供給オペを5兆円減額し、その分、短期国債買入を5兆円増額する。さらに、短国買入の入札下限金利の0.1%を撤廃。固定金利方式・共通担保資金供給オペの期間で3か月、6か月の区分をなくして6か月以下にした。

 これは基金を使っての日銀の資金供給における期間をやや長めにしようとするものであり、取り方によっては追加緩和とも取れなくもない。しかし、今回の決定会合後に発表された公表文のタイトルが現状維持の際の「当面の金融政策運営について」となっており、また総裁の会見でも今回の目的が「日銀による金融緩和の強化を予定通り着実に実施することを担保するもの」としており、日銀としては追加緩和という認識ではない。

 今回の変更の目的は、固定金利方式・共通担保資金供給オペでは資金供給がなかなか目標通りに進まなくなってきたことで、短期国債の買入でその分を補おうとするものである。このため、短国買入の入札下限金利の0.1%を撤廃し、日銀の買入額の増加を図ろうとしたものである。

 ここで注意すべきは、基金による短期国債の買入下限金利撤廃は、日銀の超過準備の付利の引き下げには直接結びつくものではない点である。昨日の白川総裁会見も、「付利の引き下げは考えていない」とはっきり答えている。むしろ、短期国債の買入下限金利撤廃は「付利金利の引き下げを遠くする」ものとの見方がある(以下、許可を得て7月13日「朝のドラめもん」を参考にさせていただきました)。

 今回の措置は、日銀による短国買入の残高を積みやすくさせる為の措置であり、もし超準備の付利を引き下げてしまうと、短国を保有する金融機関(準備預金制度の対象となる金融機関)が日銀に売却するインセンティブがなくなってしまう。つまり付利が継続されれば、銀行などは保有している短国を日銀に0.1%以下で売却し、その売却資金を日銀に預け0.1%で運用することができる。

 日銀に準備預金を積まなければいけない金融機関は、その超過準備の部分に0.1%の利子が付くため、特別な事情がない限り、資金運用のため0.1%を下回る利回りの短期国債を購入する必要はない。このように超過準備の付利が存在していることで、0.1%以下の利回りで短期国債を購入する投資家は限定されている。この投資家とは、例えば準備預金制度の対象外の投資家、海外投資家とか投資信託とかであり、また決算対策等の事情で購入せざるを得ない投資家などがある。そして今回、この短国を0.1%以下で購入しなければならないという投資家に、日銀が新たに加わることになる。

 このように今回、基金による買入をよりスムーズに行うための措置が取られ、その一環として短国買入の入札下限金利の0.1%を撤廃したが、これは超過準備に対する付利の引き下げを意識させるものではなく、反対にその可能性をむしろ後退させるものと言える。

 さらに、今回の措置により日銀が短期国債をさらに購入しやすくなった面があるため、基金による短期国債の買入余地が広がることも意味する。つまり基金の増額というカードを増やすことも可能となる。今回の日銀の措置は基金による買入をスムーズにさせることに加え、将来の追加緩和も見据えた措置とも言えるものであろう。


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by nihonkokusai | 2012-07-14 10:42 | 日銀 | Comments(0)
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