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今日の決定会合の結果は現状維持で追加緩和ではない

 7月11日から12日にかけて開催された日銀の金融政策決定会合では、金融政策は全員一致で現状維持となった。ここで注意すべきは伝統的手段と非伝統的手段のふたつをみることで、政策金利である無担保コール翌日物の誘導目標値を0~0.1%程度に誘導するというゼロ金利政策は伝統的手段の方であり、基金により買い入れる資産の規模を増額するなどの非伝統的手段での追加緩和があったかどうかもチェックする必要がある。

 今回、このことで一部勘違いが発生し、市場で一時混乱するような事態となった。つまり追加緩和が決定されたと市場が勘違いし、ドル円が80円近くまでつけ、日経平均も下げ幅を縮小させ、債券先物も一気に買い上げられていた。

 これは今回、固定金利方式・共通担保資金供給オペ等で未達となるケースが多く出てきたことから、固定金利方式・共通担保資金供給オペを5兆円減額し、その分短国買入を5兆円増額することとした。さらに、短国買入の入札下限金利の0.1%を撤廃。固定金利方式・共通担保資金供給オペの期間で3か月、6か月の区分をなくして6か月以下にしたのだが、これが一部で追加緩和と受け取られたようである。

 これにはベンダーから、短国買入を5兆円増額と短国買入の入札下限金利の0.1%を撤廃の部分がフラッシュニュースで流れ、基金増額とともに超過準備の付利引き下げかとの勘違いも引き起こしていた可能性がある。しかし、今回の措置はあくまでオペ等での未達を防ぐことが目的であり、日銀は追加緩和という認識ではない。このあたり、公表文の内容を確認すればわかることでもあるが、その公表文のタイトルでも判断が可能となる。つまり、現状維持の公表文のタイトルは主に「当面の金融政策運営について」となっていることに気が付いていれば、混乱は防げたはずである。ちなみに追加緩和の際には、「金融緩和の強化について」といったタイトルがつけられている。

 今回の対応は短い期間のオペの未達が発生していたことで、3か月、6か月の固定金利方式・共通担保資金供給オペの金額と期間を変更させ、それよりは長い期間が可能な短国の買入をその分増加ざるとともに、短国買入の入札下限金利の制限を撤廃することで、さらなる金利低下を可能とさせ、こちらも未達を防ぐことになる。結果としては、1年以下の金利のなかでのツイストみたいなものではあるが、あくまでこれは技術的なものであるとの見方で良いと思うし、日銀もそのような認識であったと考えられる。

 今回の日銀の金融政策については、ECB、BOEやデンマーク中銀、さらに中国、ブラジルや韓国での追加緩和もあり、日銀の追加緩和を期待する声もあったようであるが、そもそも追加緩和そのものの可能性は薄いとみられた。

 これは7月の短観やさくらレポートの内容が良く、「わが国の経済は、復興関連需要などから国内需要が堅調に推移するもとで、緩やかに持ち直しつつある」との認識であるならば、これらの発表からあまり日が経ってない段階で、追加緩和を行う環境にあるとは言いづらい。もちろん、この景気回復を後押しするという無理矢理な理屈をつけることは可能ではあろうが。

 それよりも注目すべきは、FOMCのスケジュールである。つまり7月31日から8月1日にかけてのFOMCでもし追加緩和、それもQE3などが決定されるようであれば、それはドル円相場等に大きく影響し、当然ながら日銀への追加緩和圧力が政治家を含めて掛かってくる可能性が極めて高い。それならば、そのFOMCを確認したあと、8月8日~9日の金融政策決定会合で基金の5兆円規模の増額等を決めれば良い。また、臨時会合を開催する手段もある。しかし、基金の国債買入規模の5兆円増額(ETFとJ-RIETもあるか)のカードを使ってしまうと、すぐに出せる2枚目のカードがない。来年6月までの国債買入をみると、現在の買入規模を考えればあと5兆円程度の増額は可能であるが、さらなる基金の増額は現時点ではできれば温存というか避けたいところでもあろう。

 とにかくも、このような状況であるため、7月31日から8月1日にかけてのFOMC次第の側面はあるが、8月の会合での日銀による追加緩和の可能性はそれなりに高いとみている。


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by nihonkokusai | 2012-07-12 17:40 | Comments(0)
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