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拡大するLIBOR不正操作問題

 LIBORの不正操作に関しては、すでに英国では大騒ぎとなっているようで、少し遅れて日本でもマスコミ各社が報じるようになり、朝のワイドショー番組でも取り上げられていたそうである。

 バークレイズのボブ・ダイヤモンド最高経営責任者(CEO)が結局、辞任に追い込まれたが、そうせざるを得なくなるほど英国での世間の目がこの問題に集中していたとも言える。これをきっかけにLIBOR問題はさらに拡大する可能性が出てきた。

 2008年の秋、つまりリーマン・ショック等により市場が大混乱に陥り、銀行間取引等も成り立たないような状況で、実勢レートそのものが掴めず、ある程度高いレートを提示せざるを得なかった。しかし、それはそれで高いレートを出さなければ資金が取れないと疑われることにもなり、外部からそのレートを見ている者がそのレートを提示した銀行が危ないとの認識を持ちかねない。

 そこでイングランド銀行のタッカー副総裁が、その金利の高さについて懸念を示し、それを意識して、提示する金利を引き下げたというのは、ある意味致し方のないところとも言える部分はある。あのときはそれほど緊迫した異常事態であった。

 しかし、これはこれで実勢利回りと提示される利回りで乖離が生じてもおかしくはないとの認識にも成りかねず、これはLIBORという金利そのものへの信頼喪失に繋がりかねない問題でもあった。

 まして、英米当局は1年以上にわたる捜査で、バークレイズが2005~2009年に虚偽申告を繰り返し、経済の実態とかけ離れてLIBORを上げ下げしたと結論づけており、この調査では、バークレイズのトレーダーがLIBOR担当者に「1か月物と3か月物の数値をできる限り高くしてほしい」と頼んだメールも見つかった。

 つまり非常時の対応以前にこのような不正がすでに行われていたことが明らかとなっていた。現実にこの不正によりどのような仕組みで利益を得ていたのかがはっきりしていないが、このあたりもいずれ明らかになろう。ただし、このような操作をしようとするのであれば、バークレイズ一行では無理である。そもそもLIBORの金利は、上下4行を除いたもので計算される仕組みであり、もし操作するのであれば、ある程度銀行数行が結託して行う必要がある。

 たとえば昨年、金融庁は「TIBOR」を不正操作しようとしたとして、シティグループ証券とUBS証券を行政処分した。自社の取引に有利になるよう恣意的に金利を提示することを複数の銀行に働き掛けていたそうである。このように単独の銀行では操作そのものが無理である。

 ちなみにLIBORに対し、日本においてこれに相当するリファレンス・レートが、このTIBOR(東京銀行間取引金利)である。日本時間午前11時時点の、特定銀行のオファードレートを、全国銀行協会が集計して平均値を公表している。

 LIBORの不正操作問題では、CFTCなど米英の監督当局が、ドイツ銀行、RBSなど約10行に調査を拡大したとも報じられている。また、この問題に関連して、三菱UFJフィナンシャル・グループはロンドン勤務のトレーダー2人を停職処分にしたと報じられた。この2人は以前に金融当局の調査を受けているとされるオランダのラボバンクに勤務していたそうである。

 そしてロイターによると、ニューヨーク連銀が2007年8月ごろ、LOBORなど世界の基準金利が操作されている事実を認識していた可能性があるそうである。これにより米上院銀行委員会は7月中に公聴会を開き、ガイトナー財務長官とバーナンキFRB議長の証言を求める考えを示した。ガイトナー財務長官は当時、ニューヨーク連銀総裁を務めていた。

 LIBOR不正操作問題は次期イングランド総裁候補と言われるタッカー副総裁が関与したようであり、さらにガイトナー財務長官もこの不正操作を認識していたとなれば、それを結果として放置し、対策を講じなかった責任が問われる可能性もある。このLIBOR不正操作問題は欧米の大手銀行の経営そのものにも影響しかねず、さらに欧米の金融当局にも波及するなど、問題が深刻化しかねない。今後の動向にも注意を払う必要がありそうである。


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by nihonkokusai | 2012-07-12 09:47 | 国際情勢 | Comments(0)
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