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次期日銀総裁にふさわしい人とは

 木内氏と佐藤氏の二人のエコノミストは両院での同意を得たことで、日銀の審議委員に就任するが、これにより日銀の金融政策そのものに変化が生じるであろうか。6月のQUICKによる債券市場関係者への月次調査によると、結果としては「変化なし」が53%と、「追加緩和に積極的な方向にバイアスがかかる」の44%を上回っていた。

 この結果について、市場関係者以外の方から見て意外性があったかもしれない。なぜならば、審議委員にBNPパリバ証券の河野氏を起用する案が否決されたことで、積極的な金融緩和に反対する人物は審議委員にはふさわしくないとの印象を強めさせたためである。

 実際に報道などでは、木内、佐藤両氏ともに金融緩和派として知られるとあり、最近のレポートで木内氏は「政府と日銀の連帯強化」が必要との持論も展開していたことを報じられていた。ただし、レポートの件はさておいて、それほど現在の日銀の金融政策の姿勢に木内、佐藤両氏が距離を置いているとの認識は持たれていなかった可能性もある。

 それとともに、審議委員になったばかりで、仮にこの両者が追加緩和に積極的であったとしても、すぐに行動を起こすとは思えない。たとえ二人が行動を起こしたとしても、最終的には多数決で決定されるため、政策委員の全体のバイアスが緩和に傾くことのない限り、金融政策そのものに変化が生じることは考えづらい。

 私も新しい審議委員が加わっても、現在の日銀の金融政策には大きな変化はないと思っている。ただし、これが総裁人事となればその影響力は当然異なる。今回のQUICKの調査では2013年4月に任期満了となる白川総裁の再任の可能性等に関するものもあった。

 白川総裁の再任が望ましいかどうかについては、全体で6割以上が望ましいとしている半面、7割が再任はないとの認識である。この背景には、1998年に日銀法が改正されたあとの日銀総裁は速水優元総裁(平成10年3月20日~平成15年3月19日)、福井俊彦前総裁(平成15年3月20日~平成20年 3月19日)ともに再任はなかったことがあろう。ただし、審議委員では植田氏と須田氏が再任されている。

 白川総裁が再任されなかった場合にどんな人が新たに総裁になると思いますか、との質問もあり、これについては「政治家とのコミュニケーション能力の高い人」が43%、「市場とのコミュニケーション能力の高い人」が39%となっていた。市場参加者へのアンケートであるが、市場とのコミュニケーションとともに、政治家とのコミュニケーション能力をより求めるあたり、現在の日銀の抱える大きな問題が存在しているように思われる。

 今回の調査には、日銀の独立性に関する問いもあり、その結果は「政府の経済政策と整合的な金融政策を実施すべき」と「現状の政府との距離感を保つのが望ましい」というのが拮抗していたが、このあたり日銀だけでなく市場参加者も中央銀行と政府の距離感についてどのようにあるべきかを模索しているようにも感じられる。だからこそ政治家とのコミュニケーション能力の高い人が求められているように思われる。

 しかし、政治家とのコミュニケーション能力を持った上で、市場とのコミュニケーション能力の高い人となるとなかなかふさわしい人物が見当たらない。しかも、その人物が両院で同意されるかとなると、さらに絞り込みが難しくなろう。総裁を含む日銀の政策委員の人事等については、形式上は内閣官房副長官から国会に提示されることで、最終判断は官邸にある。問題はその人事を決めるときに官邸にいるのは誰かということもあるし、その際に衆参両院のバランスも不確定要因となりうる。

 最後に債券市場関係者の間では「国債引き受け等財政政策にも積極的に協力すべき」との答えが5%あった。債券市場参加者だからこそ日銀による国債引き受けのリスクを意識しているため、このような数値となったとみられるが、むしろ5%もいたのかとの印象でもあった。


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by nihonkokusai | 2012-07-04 09:38 | 日銀 | Comments(0)
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