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日本の長期金利の変動要因と今後の予想

 6月4日にQUICK月次調査「債券」5月の調査結果が発表された。これを元に債券市場関係者が今後の金利動向をどのように捉えているのかを確認してみたい。

 総括の中で、前回調査と比較し新発10年国債利回りで見て下方にシフトしたとある。これは5月の債券相場が、ギリシャやスペインへの懸念でリスクオフの動きを強め、ドイツや英国、米国の長期金利が過去最低水準にまで低下し、その影響を受けて日本の債券相場も慎重ながらも上昇基調となったことが背景にある。どうしても先々の見通しは足下の相場環境に大きく影響を受けやすい。

 相場変動要因としては、注目度で見ると「海外金利」が上昇したのは、上記の理由によろう。また、債券価格への影響を表した相場変動要因の指数(50を超えると上昇要因、50を下回ると下落要因)で「為替動向」と「海外金利」の上昇が目立ったのも、欧州の信用不安の拡大による円高等も影響していたものと推測される。

 債券価格への影響を表した主体別の指数では「外国人」と「都銀・信託銀行(投資勘定)」の上昇が目立ったとある。これは5月21日に発表された4月の公社債投資家別売買高(短期証券を除く)において、都銀が債券を過去最大規模で売り越していた半面、海外投資家は1兆3616億円の買越しと3月の売り越しから買越しに転じ、なかでも超長期債を6千億円規模で買越していたことが明らかになったことも影響していたものと考えられる。

 今後1年間、2年間、10年間平均のCPIコア変化率は、それぞれ単純平均で0.11%、0.30%、0.90%となったが、足下は低い状況は続くが、先々はいずれ1%に近づくとの想定となっている。この予想は金利の先行き予想にもある程度、反映されることになる。

 今回はギリシャの再選挙およびユーロ離脱の可能性とその影響についての調査もあった。6月17日の再選挙の結果について、「緊縮財政受け入れを軸とする政権の誕生」との回答が60%、次に「反緊縮財政を軸とする政権の誕生」が20%と続き、「主要な政党による挙国一致内閣の誕生」は16%となった。このあたり自分で予想していたものに近い内容であり、意外と市場参加者も冷静にみているなとの印象を持った。また、ギリシャのユーロ離脱の可能性については20%との回答が最も多かった。可能性は低いとみるものの、ゼロではないとの印象から、この数値が出てきたものと予想される。

 長期金利の予想数値についてもう少し詳しくみてみると、5月調査の1か月後、3か月後、6か月後の予測数値は、最頻値でそれぞれ0.900%、1.000%、1.000%となっていた。最小値はすべて0.700%、最大値は1.100%、1.300%、1.550%とあった。

 現在の債券相場を取り巻く環境をみると長期金利は上昇しにくいが、下げるにも限度があるとの認識と思われる。最小値についてはあくまで月末の数値を意識したもので、月中の最低利回りとの認識ではないと思うが、それでも2003年6月のような0.5%割れを予想している向きはまだ少数派であろうことが伺える。それだけまだVARショックの印象が市場参加者の意識には刻み込まれているものと予想される。

 最大値が上昇傾向にあるのは、ある程度の金利上昇のリスクも意識しておく必要があるためであろう。ただし、これも前回平均に比較してそれぞれ低くなっている(前月調査の最大値1.200%、1.500%、1.600%)。

 債券価格の変動要因としては、4月調査に比較し短期金利/金融政策が36%→15%、景気動向が24%→17%に低下していたのが目立つ。4月27日に追加緩和が実施されたが、5月の決定会合では現状維持となるなど、金融政策への関心度はやや低下している。それに対して、海外金利については24%→48%と大きく上昇している。

 相場の動きをみるにあたり、これらの変動要因の比重がどこに傾いているのかを、ある程度掴んでおかないと相場変動の理由がわからなくなる。債券市場関係者以外がそれを知ようとするのであれば、リアルタイムで債券価格の変動要因が数値で見ることができれば、理解も早いではなかろうかと思うが、現実にはそれはむずかしく、ある程度感覚で捉えざるを得ない。

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by nihonkokusai | 2012-06-09 09:30 | 債券市場 | Comments(0)
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