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首都圏で震災があった際の債券市場

 1923年9月1日に発生した関東大震災によって、東京株式取引所(現在の東京証券取引所)の建物が全焼し、10月27日から焼け跡の天幕内で株式の現物取引を開始したと東証のサイトにある「日本経済の発展を支えた東証の足跡」に記されている。

 日銀も被災したが、週明け3日には営業を再開し、焼損した紙幣の引換に応じるなどした。ただし、大蔵省印刷局も被災したため、紙幣不足が見込まれ、200円という高額紙幣を国債証書の用紙を用いて大阪で作られた。しかし、これは結局使われることはなかったそうである(日銀サイト「日本銀行 あの日の記録」より一部引用)。

 この震災によって、関東地方の企業は壊滅的な打撃を受け、損害を受けた企業は震災前に振り出した手形を決済することができず、それを抱えた市中銀行も資金繰りに支障をきたすようになった。政府はこのためモラトリアムを出して、9月中に支払期限を迎える金融債権のうち被災地域の企業・住民が債務者となっているものについては支払期限を1か月間猶予した。

 さらに9月29日に震災手形割引損失補償令が出され、震災地を支払地とする手形や震災地に営業所を有していた商工業者を債務者とする手形等(震災手形)については、特別に日本銀行による再割引、つまり、銀行がもっている震災手形を日本銀行に買い取らせた。これに伴い日本銀行が損害を受けた場合は政府が補償することになった。

 もし、関東大震災クラスの直下型地震が首都圏で発生した際には、どのような状況になるであろうか。東日本大震災の際には、支払期日に企業が手形の決済ができない場合も、「不渡り」として扱わないよう全国銀行協会が金融機関に要請した。また、被災者が預金通帳や印鑑を持っていなくても、免許証などで本人だと確認できる場合、預金の引き出しに応じるといった対応もなされた。

 しかし、首都圏には企業が集中しているばかりか、金融機関の本店も被災される可能性がある。もちろん大手金融機関などはバックアップシステムも整ってはいると思われるが、かなりの混乱は避けられないとみられる。

 また、金融取引の基幹システムといえる日銀ネットなどの日銀のシステムについても、機能停止になることはないと思われる。しかし、一時的にせよ停電等の発生により、ATMが使えなくなるケースも多くなるとともに、電子決済は難しくなるため、現金がより必要となることになるものと予想される。このあたりについては、日銀などを中心にいろいろな想定でシミュレーションも行われていると予想される。

 それでは債券市場はどうなってしまうであろうか。たとえ決済システムが生きていたとしても、債券相場そのものは当分の間は停止状態になるものと思われる。債券市場でのベンチマークとなっている長期国債先物を取引している東証は、被害状況によるが一時的にせよ売買を停止してくる可能性がある。また、現物債については日本相互証券の売買が止まってしまうと、現物国債の取引の目安がつかなくなる可能性がある。そもそも市場参加者が取引どころではなくなる可能性があり、むしろ震災前に約定したものの決済が問題視されるかもしれない。これについても現物債は4日目渡しから3日目渡しになったことで、以前に比べればそのリスクは1日分軽減されている。日銀ネット等の決済システムは機能しているとみられるが、日銀ネットを使わない決済分については、一部で支障が出てくる恐れもある。

 現在の国債の売買は東京中心で行われていることで、それを大阪などで代替で行われることも考えづらい。つまり首都機能がある程度回復されるまでは、日本の債券の売買は一時的に停止される可能性がある。もちろんこれはあくまで債券の約定や決済の動向予想であり、相場そのものは日本経済が壊滅的な影響を受けた段階で、海外市場などで大きな動きを見せることが考えられる。そして、さらに国債市場にとり問題になるのは、その後の復興費用とそれにともなう巨額の国債発行となろう。

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by nihonkokusai | 2012-05-26 10:09 | 債券市場 | Comments(0)
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