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金融政策と債券市場との関係

 金融政策に債券市場は大きな影響を受けます。伝統的手段において、中央銀行は短期金利を動かすことにより、より長めの金利に働きかけようとします。つまり、債券市場そのものに影響を与えることで、景気や物価の動向に働きかけようとしているのです。将来の物価変動とともに短期金利の先行きの見通しが、長期金利を形成します。短期金利の将来の見通しについては中央銀行の金融政策の動向が大きな影響を与えます。これについては、政策金利が実質的なゼロ近辺にまで低下してしまった場合の金融政策、いわゆる非伝統的手段における金融政策の内容を確認するとそのあたりが明確になります。

 2001年3月に日銀は非伝統的手段といえる量的緩和政策を導入しました。これは政策金利の引き下げが限界にあったことで、金融政策の目標を日銀の当座預金残高としたものですが、市中に資金を供給するために使った手段に国債買入があります。量的緩和政策の導入とともに、日銀による国債買入も増加させました。これは国債価格を上昇させることが目的ではないものの、国債の需給が引き締まることになります。

 そして、2010年10月の決定会合で決められた包括緩和政策についても、ゼロ金利政策を復活させたことに加え、「中期的な物価安定の理解」に基づき、物価の安定が展望できる情勢になったと判断するまで、実質ゼロ金利政策を継続していくとし、時間軸を明確化しました。これによりゼロ金利が長期化されると市場が予想すれば、より長い期間の金利の低下を促します。これが時間軸の強化とも呼ばれるもので、長期金利の低下を促すことが目的となります。さらに日銀のバランスシート上に基金を創設することを決定しましたが、この基金による長期国債の買入は、日銀券ルールには縛られないかたちでのものとなりました。このあたりも長期国債の需給に大きな影響を与えることとなります。

 日銀ばかりではありません。FRBもリーマン・ショックや欧州の信用不安による金融経済ショックを受けて、量的緩和策として国債の買入を実施しました(QE1で3000億ドル、QE2で6000億ドルの国債買入)。さらに2011年9月にはツイストオペも導入しています。ツイストオペとは短期債を売却して長期債を買うものであり、長期金利の低下を促すことが目的です。また、欧州でもイングランド銀行も2009年3月から国債の買入を行い、ECBも2010年5月に市場機能の安定を目的として南欧諸国の国債買入を実施するとともに、2011年11月から3年という長い期間の資金供給オペも実施しました。それぞれ、結果として長期金利の低下を促そうとしていることは明らかです。

 このように各国の中央銀行の政策をみると、債券相場に働きかけ国債を中心とした利回り低下に働きかけようとしています。実はこの働きかけがなくても、米国債やドイツ国債、英国債、そして日本国債には安全資産としての買いが入ってきており、その結果、歴史的な水準にまで長期金利の低下を促すこととなっています。

 債券市場での価格形成は、中央銀行による金融政策だけに影響を受けるわけではなく、景気や物価の動向、さらに国債の発行量に影響を与える財政などにも大きな影響を受けることになります。また、価格が市場で形成されている以上は、市場参加者のマインドにも影響を受けます。その結果、価格が上げ下げすることになるわけですが、国債価格の安定には、その国債に対しての信用度が高いことが必要条件となっており、それには財政の健全性などとともに、中央銀行への信用度も大きな要因となっています。このようなかたちで中央銀行の金融政策と債券市場の動向は密接に結びついていると言えるのです。


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by nihonkokusai | 2012-05-21 11:09 | 債券市場 | Comments(0)
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