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日本の長期金利はどこまで下がるか

 ギリシャがユーロから離脱するのではないかとの懸念や、スペインの銀行に対する懸念などから、欧州の信用不安が再燃し、リスクオフの動きが強まっている。いわゆる安全資産とされる米国やドイツ、英国の国債等は買われ、それぞれ過去最低水準を記録するか、それに近いところまで利回りが低下している。

 17日のドイツの国債利回りは、10年債で1.42%近辺まで低下し、過去最低を記録した。また、オランダの10年債利回りも過去最低を記録したようである。英国の5年債利回りは17日に0.85%に低下し、記録が残っているところでの過去最低を記録した。16日には10年債利回りも1.82%近辺に低下し、過去最低水準をつけていた。

 そして17日の米国10年債利回りは、昨年9月につけた過去最低利回りの1.67%付近まで一時低下してきており、記録更新まであと少しの位置に付けている。

 これに対して日本の10年債利回りについては、本日0.815%近辺まで低下し、2003年7月以来の水準をつけてきた。ちなみに日本の長期金利の過去最低を記録したのは2003年6月である。手元の記録によると、2003年6月11日に30年債が0.960%、20年債0.745%、そして10年債0.430%とそれぞれ過去最低利回りを記録した。

 このときの相場を振り返ると、目立ったのがメガバンクの一角や地銀を含めた銀行主体の債券買いであった。銀行などがポジションのリスク管理に使っているバリュー・アット・リスク(VAR)の仕組み上、変動値幅が少ないことでそのリスク許容度がかなり広がりをみせていた。日銀による量的緩和政策とともに、株価の低迷にともなって債券での収益拡大の狙いもあり、銀行は必要以上にポジションを積み上げ、異常なほどの超低金利を演出したとされる。

 あらためて10年国債の利率の過去の推移をみてみると、今年5月8日に入札された10年国債の利率は0.9%となり1%を下回ったが、これは2010年の10月債の0.8%以来の1%割れであった。2010年10月の際は、米FRBのQE2期待などによる米債高などが背景にあったが、1%割れはその月だけであった。その前は、2003年1月から7月かけて入札された10年債が、1月0.9%、2月と3月が0.8%、4月0.7%、5月0.6%、6月が過去最低の0.5%、7月0.9%となっている。実はその前にも一度1%割れがあり、それは1998年の9月と10月に0.9%となっている。

 このように10年国債の利率が1%割れとなったことが何度かあったが、実はその後の債券相場の動きを見ると、同じようなことが繰り返されていることがわかる。1998年末に起きた「運用部ショック」、そして2003年6月以降におきた「VARショック」と呼ばれる債券相場の急落である。2010年10月には名前が残るほどではないが、やはり債券相場は一時大きく下落している。つまり過去の事例を見る限り、10年債の利率1%を割り込むと、その反動がいずれ来る可能性が高いということになる。

 これを10年国債の利率の推移でみるとその変動の大きさが理解できる。1998年10月が0.9%であったが、11月は1.1%、そして12月は2.0%に利率は引き上げられている。また、2003年6月に0.5%の利率であったものが、7月が0.9%、8月1.0%、そして9月は1.6%に引き上げられた。2010年10月の0.8%のあとは11月1.0%、12月1.2%と、こちらは2度のショックほどではないが、利率が引き上げられている。

 このように過去の債券相場の動きなどから見ても、現在の長期金利の水準はかなり警戒ゾーンにあるということがわかる。ただし、欧州の信用不安が解消されない限りは、米国やドイツの長期金利の低下と相まって、日本の長期金利もその低下余地を探ることが考えられる。ただ、その低下が大きければ大きいほど、そのあとの反動も大きくなる可能性がある。昨日発表された2012年1~3月期のGDPなどを見ても国内経済は比較的しっかりしており、物価についても徐々にではあるが前年比プラス幅が拡大してくる可能性がある。このため、もし海外要因が剥落するようなことがあれば、一時的であれ調整局面を迎えてもおかしくはない。そのあたりのことを考えれば、ここからの長期金利の低下もかなり慎重とならざるを得ないと思われる。少なくとも2003年につけたような0.5%割れまでの低下は考えられず、ここからの長期金利の低下幅はかなり限定的になるものと予想される。


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by nihonkokusai | 2012-05-19 10:20 | 債券市場 | Comments(0)
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