牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

ギリシャ国民によるユーロ離脱の選択の可能性

 ギリシャでユーロ導入前に使われていた通貨はドラクマである。ドラクマは古代ギリシャ及びヘレニズム世界で広く用いられた通貨の単位であり、「つかむ」という言葉に由来し、手のひらいっぱいの量の金属魂を意味したそうである。

 ユーロ圏の統一通貨ユーロは、そのままヨーロッパから取った名前であるが、この  通貨名、最初は欧州通貨単位としてのエキュがそのまま使われる予定であった。しかし、フランスで昔使われていた銀貨「エキュ」と酷似した名称にドイツが難色を示したため、ユーロに決まったのである。

 通貨にはそれぞれ記号があるが、ユーロ記号は、ギリシア文字のエプシロン、ヨーロッパのE、およびユーロの安定性を意味する交差した平行線の組み合わせであるとされる。

 現在、統一通貨のユーロを使っている国は17か国ある。このうち、ギリシャのユーロからの離脱が懸念されている。

 そもそも2010年初頭からのユーロ圏での信用不安の原因は、このギリシャにあった。しかし、欧州連合やIMFによるギリシャへの支援を経て、今年に入り信用不安はいったん後退した。ところが、5月6日のギリシャの議会選挙で、連立与党が過半数を獲得できなかったことで、新たな不安が強まった。

 ギリシャの議会選挙の結果は、国民が緊縮財政に対しての反対の意向を示したものといえる。緊縮財政反対を掲げていた急進左派連合などの投票数が伸びた。もし約束した緊縮財政を実行しなければ、EUなどからの支援は受けられなくなる。14日のユーロ圏財務相会議では、ギリシャへの支援の継続を確認したそうだが、加盟国の一部からはギリシャが緊縮策を実行しないならば、支援を停止すべきだという意見も出ていたそうである。

 ただし、緊縮財政策を避けるためのユーロ離脱について、ギリシャ国民はその8割がユーロ圏残留を望んでいるという世論結果も出ているそうである(日経新聞)。緊縮財政策も勘弁願いたいが、かといってユーロ圏離脱も避けたいというのは、あまりに身勝手とも言える。このため緊縮財政を受け入れるか、それともユーロを離脱するのかという究極の選択が迫られている。

 この場合、ギリシャの国民としてはどちらを選択すべきかは言うまでもない。あえて価値の下落が見えている新通貨への乗り換えは、さらに経済を悪化させよう。日本では戦後、新円切替が実施されたが、これは戦後のハイパー・インフレーション対策としてのものである。これに対して、もしギリシャがユーロから新ドラクマに乗り換えるとするのであれば、日本の新円切替とは真逆のことになる。あえて通貨価値の高いものから低いものに乗り換えるという事態となり、それはさらなる経済の混乱をもたらすことになろう。

 もちろんこれによる他のユーロ圏の国々やその金融機関などへの影響も出てこようが、そもそもギリシャ国民がユーロ離脱という選択をすることが考えづらい。ユーロ圏にあることで得ていた利益は計り知れなかったはずである。

 現実的に見て、通貨価値の重要性を考えれば、ギリシャ国民がユーロ離脱を選択するということは考えづらいが、政局の行方次第では、そのような流れに追い込まれてしまう懸念も残る。どちらにしても国民に大きな負担はかかる。離脱した際の経済などへの影響の大きさを予想してみるだけでも、ギリシャ国民によるユーロ離脱との選択は取りづらいはずである。


*** 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ、通称、牛熊メルマガでは毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。毎営業日3本届いて、価格は税込で月額1050円です。登録申込当月分の1か月は無料でお読み頂けます。ご登録はこちらからお願いいたします。

BLOGOS版「牛さん熊さんの本日の債券」
まぐまぐ版「牛さん熊さんの本日の債券」

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp






[PR]
by nihonkokusai | 2012-05-16 10:00 | 国際情勢 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー