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日銀による国債買入再考

 昨日、金融政策による長期金利への働きかけについて見てみたが、今度は国債の需給面から見て、中央銀行による国債の買入がどのような役割を果たしているのかを見てみたい。

 日銀券ルールという縛りがある日銀による国債買入は毎月1.8兆円ずつ行われ、年間で21.6兆円の買入が行われている。 これに対して別枠というか別腹で、基金による国債買入も行っている。

 日銀券ルールという縛りがある日銀による国債買入(ここでは元祖買入とする)と、基金による国債の買入の大きな違いは、日銀券ルールという縛りや買い入れる年限に違いがあるが、もうひとつ大きな違いがある。元祖の方はあくまで毎月1.8兆円ずつの国債買入を行うというように購入金額が定められているのに対して、別腹の方は買い入れる金額ではなく、残高が定められている。

 つまり、元祖の方は償還されればその分だけ残高は減少するため、日銀の国債残高が毎年21.6兆円積み上がるわけではない。それに対して別腹の部分は、償還される分も買い付けを行わないと目標残高には到達しないことになる。

 もう少し詳しくそれぞれの国債買入のルールを確認してみる。まず元祖の方の日銀が買入れる国債は、利付国債と変動利付国債および物価連動国債(それぞれにつき、発行後1年以内のもののうち発行年限別の直近発行2銘柄を除く)となっている。

参考、日銀「国債買入オペの取引概要」 http://www.boj.or.jp/mopo/measures/mkt_ope/ope_f/opetori4.htm/

 買い入れるにあたり年限別に金額が定められており、現在は残存1年以下が年間で7兆4400億円、1年超10年以下が12兆円、10年超30年以下が1兆2000億円、変動利付債が7200億円、物価連動債が2400億円となっている。

参考、日銀「長期国債買入れにおける残存期間等区分別買入金額の変更について」 http://www.boj.or.jp/announcements/release_2009/mok0903a.pdf

 ちなみに4月30日現在の日銀による国債保有(別腹分除く)は、約65兆円となっており、日銀券の発行残高は約82兆円となっている。基金分は12月末に24兆円の残高目標になっているため、単純に元祖と別腹分を加えると、年末には日銀券の発行残高を上回る計算となる。

参考、日銀「営業毎旬報告(平成24年4月30日現在)」 http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2012/ac120430.htm/

 これに対して、営業毎旬報告での「資産買入等の基金」の内訳を見ると、長期国債は7.8兆円となっている。4月27日の金融政策決定会合では、2012年12月末までに長期国債の基金による残高を24兆円まで引き上げる。つまり16.2兆円分を5月から12月末までに購入することになる。ただし、ここには償還分も加味しなくてはならず、年内償還されるものの合計が約5千億円あり、毎月2.1兆円程度での国債買入となる。また、来年6月までにあらたに5兆円積み上げて29兆円としなくてはならないので、2013年1月から6月まではその間の償還分を加えると毎月約1兆円規模で買い入れが行なわれる計算となる。

参考、日銀「日本銀行が保有する国債の銘柄別残高」 http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mei/release/2012/mei1204.pdf

 つまり、今年一杯は毎月、日銀は元祖の1.8兆円と別腹2.1兆円の約3.9兆円を買い入れることになる。ちなみに今年度の新規国債発行額は約44兆円でこれを12か月で割り算すると、毎月約3.7兆円ペースとなる。つまり月割りで考えれば、新規国債分は日銀による国債買入で軽くカバーしてしまう計算となる。


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by nihonkokusai | 2012-05-09 08:16 | 日銀 | Comments(0)
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