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金融緩和効果の波及経路、デフレ脱却への道筋

 4月27日の記者会見で、日銀の白川総裁は、金融緩和の効果がどのように及んでいくのかについて説明をしていた。

「1つは、基金の買入れによって、これは需給的な観点からですが、当該金融資産の価格が上がり、金利が下がることで、企業の資金調達コストが低下するということです。」

 これについては、基金による国債買入増額と年限の長期化が事前に予測されていたことで、中期ゾーン中心に国債利回りはすでに低下していた。さらに基金による国債買入が10兆円であったことが影響し、さらに長い期間の金利低下を促すこととなった。

 「2つ目は、先程の時間軸効果です。景気が持ち直し、企業の収益率が向上していくもとでも、消費者物価について前年比1%が見通せない間は、実質的なゼロ金利政策等の強力な緩和政策を継続します。そうすると、同じゼロ金利であっても、その景気刺激効果はどんどん強くなっていくわけです。半年前、1 年前のゼロ金利と、今のゼロ金利を考えると、今のゼロ金利の方が刺激効果は強くなっています。」

 すでに全国消費者物価指数(除く生鮮)は3月でプラス0.2%と二ヶ月連続でプラスに浮上しており、今後プラス幅が拡大すれば、その分、緩和効果は強まることになる。どの時点で日銀はプラス1%が見通せると宣言するかは不確かではあるが、2006年の量的緩和とゼロ金利の解除、さらに2007年の利上げについてはやや拙速ではなかったかとの見方もあり、今回はその分、ゼロ金利解除には慎重ににることも予想される。

 「3つ目は、潤沢な資金供給を通じて金融市場の安定が確保されるという安心感です。企業が長期的な投資に取り組むためには、この金融市場の安定は、現在のような不確実性が高い時には、特に大きい要素です。」

 これは半面、短期金融市場の機能そのものを失わせかねないことになり、金融機関のモラルハザードの問題も生じるリスクはあるが、金融システム安定に日銀の積極的な資金供給が寄与することは確かであり、不確実性をある程度、排除する役割も果たしている。これはつまり、ゼロ金利が解除されると、短期金融市場を通じて金融機関はある程度のストレスに晒されることになるということでもある。

 「4つ目は、金融政策の固有の効果では必ずしもありませんが、私どもとしては、この極めて緩和的な金融環境を大いに活用してほしいと常に申し上げています。」

 金利が低いうちにいろいろと手を打つべきであるとしている。これは様々な成長力強化の取組み、規制緩和、色々な投資のプロジェクトの採算性などを総裁が指摘していたように、政府の問題となる。実際に政府もデフレ脱却に向けてあらためて規制緩和策などを検討するようだが、こういったことは真っ先に手をつけるべきものではなかろうか。

 「色々比喩を考えましたが――あまり適切ではないかもしれませんが――、ちょうど、オセロで一斉に黒が白に変わっていくように、これまでは強力な金融緩和を十分に活かしきっていなかったけれど、成長力強化の取組みが実を結んでいけば、その効果が顕在化して、どんどん黒が白に変わっていくということもあります。これは、いわば累積的な緩和の効果が顕在化していくということです。」

 良い循環をもたらすには、まず規制緩和なり、技術革新に向けた取り組みなど環境を整えた上で、日銀による積極的な資金供給や超低金利政策による恩恵を生かすことが重要である。今度は、民間の企業経営者や大学などの研究者なども含めて、低金利をうまく生かした成長ビジョンを整えることも必要であろう。

 「そうした形で経済が改善してくると、人々のマインドも好転していきます。こうした効果を期待しています。」

 人々のマインドが好転すると、それは株価などにも影響するとともに、個人消費も上向くようになる。これには漠然とした財政への不安も取り除くことも必要となろう。そこで初めて、デフレ脱却に向けた道筋が生まれる。


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by nihonkokusai | 2012-05-03 15:30 | 日銀 | Comments(1)
Commented by マヨネーズ at 2012-05-05 10:33 x
デフレにおいてはゼロ金利であっても、マイナスインフレ分金利が借金には上乗せされます。
そのような中で設備投資が控えられるのはごく自然な気がします。
また、デフレは供給過剰による物価の低下なので、規制緩和を行う事は更なる供給過剰を引き起こしてデフレを深刻化させることは間違いと思いますよ。
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