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日銀はもう少しアナウンスメント効果を意識すべきでは

 4月27日の金融政策決定会合での市場の反応を見ると、日銀の金融政策を行っている現場に近いところの市場では好感され、金融政策による直接的な影響よりはアナウンスメント効果による影響が大きいとみられる市場では踏み込み不足と捉えられたようである。

 このあたりは27日の債券と為替や株の動きの違いを見ると明らかである。債券先物は決定会合の結果を受けて、まず売りで反応した。これは資産買入等の基金の増額が予想された5兆円から10兆円の下限であったことが、海外投資家などにより嫌気されたと思われる。また、日経平均先物はまず買いが反応したが、これは追加緩和にETFやJ-REITの買入があったことなどが、サプライズと認識されたためとみられる。

 ところがその後、債券先物はやや乱高下するものの、現物債に国内投資家などからとみられる買いが3年債あたりに入り、5年債や10年債にも広がって10年債利回りは0.9%を割り込み、5年債利回りも0.255%まで低下した。債券先物も143円台を回復した。この動きは追加緩和の内容があらためて好感された格好であり、日銀の金融政策による直接的な影響を受けやすい債券市場は素直に追加緩和を好感した格好となった。

 これは追加緩和の内容が、差し引きでは基金は5兆円増となっているが、長期国債(残存1年以上3年以下)を10兆円程度増額し、期間6か月の固定金利式・共通担保供給オペは5兆円程度減額するとなっていたことによる。つまり短期債を売るわけではないものの、米国のツイストオペに似た効果をもたらすことになる。

 日銀の発表をみると、基金の70兆円程度への増額は2013年6月末を目途に完了する。今年末までの基金の規模は65兆円とする。つまり、今年末までの国債買入は5兆円程度増額するが、期間6か月の固定金利式・共通担保供給オペの残高は今年末に15兆円規模であったものを10兆円に減額する。さらに来年に入り、6月までに基金による国債の残高をあらたに5兆円積み増すことになる。

 これを月当たりに直すと今年12月までの基金による国債買入は償還分を加味すると、現状の1.5兆円規模が2兆円を超える規模となり、来年1月から6月にかけては1兆円規模となる。しかも買い入れる国債の残存期間は1年以上2年以下から1年以上3年以下に延長される。残存3年の国債に買いが入ったのもこの理由による。

 日銀の金融緩和策とは、長めの金利に働きかけることにより、景気や物価に影響を与えるものであるとするのであれば、今回の追加緩和はかなり効果的であったと言える。ところが、株価や円の動きを見る限り、追加緩和による効果は限定的との印象となってしまった。

 もちろん日銀の金融政策だけが株や為替の材料ではなく、米国の景気動向やスペインやフランスなど欧州の動向も気掛かり材料となっていた面もあろう。しかし、それでもこの反応を見る限り、日銀の追加緩和を好材料視した印象ではない。

 日銀も金融政策による直接的な影響が限られた市場に対しては、アナウンスメントによる影響をもう少し意識しても良かったのではなかろうか。たとえば今回、「1%に遠からず達する」との白川総裁コメントがあったが、そうではなくて、「少なくとも1%に達するのは2014年度以降の予想」との表現に替えるだけでも、市場の反応は違ってきたのではなかろうか。

 FRBも2014年末までゼロ金利政策を保証しているわけではなく、これはあくまでFOMCメンバーの予想に過ぎない。今回の日銀による追加緩和は展望レポートの予想をきっかけにしている面もあるので、それであるのならば今回の追加緩和が必要とされるぐらいに、物価の上昇速度は鈍い面をそれとなく強調しておけば、市場の反応も違ったものになったのではなかろうか。

 追加緩和の内容は、かなり細かいところまで配慮したことが伺えるが、最も注意すべき(と個人的には思っている)アナウンスメント効果については、やや配慮が足りなかったのではないかとの印象である。


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by nihonkokusai | 2012-05-02 08:10 | 日銀 | Comments(0)
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