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27日の日銀の追加緩和について

 日銀は27日の金融政策決定会合で、資産買入基金の増額というかたちで追加緩和を決定した(全員一致)。まず資産買入等の基金を65兆円程度から70兆円程度に5兆円程度増額する。内訳としては、長期国債(残存1年以上3年以下)を10兆円程度増額し、期間6か月の固定金利式・共通担保供給オペは応札額が未達となるケースが発生しているため、これを5兆円程度減額する。そしてETFの買入を2千億円、J-REITの買入を百億円程度増額する。

 買入対象となる長期国債の残存期間は、多額の買入を円滑にすすめ、長め金利に効果的に働きかける観点から、これまでの「1年以上2年以下」から「1年以上3年以下」に延長する。社債についても、国債と同様に、買入対象の残存期間を延長する。

 基金の70兆円程度への増額は2013年6月末を目途に完了する。今年末までの基金の規模は65兆円とする。つまり、今年末までの国債買入は5兆円程度増額するが、期間6か月の固定金利式・共通担保供給オペの残高は今年末に15兆円規模であったものを10兆円に減額する。さらに来年に入り、6月までに基金による国債の残高をあらたに5兆円積み増すことになる。

 事前予想としては資産買入基金の増額を5兆円もしくは10兆円増額し、長期国債の残存期間も3年以下に延長するとの観測が強かったことで、ほぼ予想通りの結果内容といえる。株式市場を意識してか、ETFやJ-REITの買入を増やし、年末に向けた固定金利式・共通担保供給オペの残高を減少させ、その分、国債の残高を今年末まで5兆円増やし、さらにそこから来年6月までに5兆円増加させる。これはFRBによるツイストオペなども意識してのものとも考えられる。短期債を売るわけではないものの、結果としては基金のデュレーションを長めにすることになり、たしかにツイストオペと言えなくもない。

 決定会合後に発表された公表分によると、今回の追加緩和は、これまでの措置の累積的な効果と合わせ、日本経済が物価安定のもとでの持続的成長経路に復することを、さらに確実なものとするためと説明された。また、「財政の持続可能性に対する市場の信認をしっかりと確保すること」が金融政策の効果浸透や、金融システムの安定・経済の持続的な成長に極めて重要と指摘している。このあたりは、ワシントンの白川総裁の講演でも触れていたものである。

 2月14日のバレンタイン緩和により、日銀は物価安定の目途に向けて能動的な金融政策を行うことを明確にした。今回の追加緩和もその一環であろうが、その目途達成が見えない限り、さらなる緩和圧力に日銀は晒されることになる。すでに資産買入等の基金規模は70兆円にも達している。国債の買入については別に年間21.6兆円もの買入も行っている。日銀が財政ファイナンスやマネタイゼーションを行っているとみなされれば、財政の持続可能性に対する市場の信認を確保することも難しくなる。日銀はかなり危ない橋を渡っていることも確かではなかろうか。


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by nihonkokusai | 2012-04-28 12:05 | 日銀 | Comments(1)
Commented by kathu at 2012-05-02 13:20 x
今後、日銀が断続的に追加緩和を行い仮に1%のインフレ目標を達成した場合に金融引き締めする事が出来るのでしょうか?
この10年間近く緩和を続けていますが、銀行の貸出が減少しマネーストックもほとんど伸びてません。今後もこの状況に変化が無くインフレ目標だけを達成した場合に、日銀が買いオペから売りオペにベクトルを変化させる事が出来るのでしょうか?
資産買入等基金の規模が大きすぎて、民間だけで新発国債を消化しながら、日銀の売りオペを吸収する事が出来るのか疑問を感じてます。
今後もマネーストックが伸びなかった場合、日銀はインフレ目標を達成したとしても、追加の緩和を行い買いオペを続けるしかなくなると考えているのですがどうでしょうか?
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