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金融政策におけるコミットメントとは何か

 「コミットメント」はすでに日本語化しているが、その意味として、三省堂辞書サイトによると、「責任をもって関わること、責任をもって関わることを明言すること、責任を伴う約束をさします。」とある。

 2月14日のバレンタイン緩和で、日銀は実質的なインフレ目標、もしくはインフレ・ターゲット政策を導入した。これについて、日銀の白川総裁は、「物価上昇率を引き上げるという要素を内に秘めた能動的な政策だ」と説明し、宮尾日銀審議委員は講演で、デフレ脱却に向けた「強いコミットメント」と説明した。さらに18日の講演で西村副総裁は、強力な金融緩和を継続する「時間軸」(コミットメント)を明確化したとしている。

 FRBも1月25日に物価に対して特定の長期的な目標(ゴール)を置くことを決定したが、これについてバーナンキ議長は記者会見で、新たに公表を開始した政策金利の予想パスは、あくまで予想に過ぎず、コミットメントでない点を再三強調していた。

 FRBや日銀による政策変更は、実質的なインフレ目標の括りとして捉えられようが、その数値には法的な拘束力などがあるわけではない。あくまでECBの「物価安定の量的定義」や日銀の「物価安定の理解」の発展型とも言えよう。

 特にバーナンキ議長は、FRB議長就任前は代表的なインフレ・ターゲット論者であり、デフレ対策として日銀に「ケチャップでも何でもいいから無限に買え」と提言したとの逸話でも知られる。しかし、1月25日のFRBの政策は以前の持論とは一線を画すため、コミットメントでない点を強調したものと思われる。これはFRBの目標が物価安定だけでなく雇用の安定にもあるためとの見方もあるが、コミットメントを強めると、金融政策における柔軟性が失われることを避けるためと思われる。

 しかし、それに対して日銀は、審議委員の発言であるものの「強いコミットメント」との説明もあり、FRBよりも踏み込んだインフレ目標策であるかに思われる。実際のところ1月25日のFOMCでは、事実上のゼロ金利政策を解除する時期を、これまで公表してきた来年の半ばから1年余り先延ばしするなどしたものの、具体的な追加緩和などは行わなかった。これに対して2月14日に日銀は、緩和強化をはかり、基金の増額も行い資産買入等の基金をこれまでの55兆円程度から65兆円程度に10兆円増額し、その増額対象は長期国債(期間1~2年)とすることも決定した。まさに日銀は態度で示した格好である。

 これを見てもFRBよりも日銀のほうが踏み込んだ姿勢をとっている。なればこそ、4月27日の金融政策決定会合で、追加緩和は避けられないのではとの見通しが強まっている。27日に発表される展望レポートでは、物価予測は上方修正される可能性があるようだが、1%には届かないのではないかとの観測も出ている(日経新聞)。能動的な金融政策、そしてコミットメントを意識すれば、追加緩和をせざるを得ない。コミットメントを強めると、市場は物価の数値だけで、追加緩和を期待するようになってしまう。これはいずれ金融政策を縛りかねないし、このあたり今後の市場との対話も難しくさせかねないのではなかろうか。


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by nihonkokusai | 2012-04-19 09:54 | 日銀 | Comments(0)
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