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中央銀行への過剰な依存を打破できるのか

 「金融市場における為替あるいは株価の動きは、経済に影響を与える 1つの要因です。しかし、この金融市場における価格形成については、日本銀行の金融政策だけでなく、様々な要因で変動するものです。従って、金融市場の変化と金融政策のスタンスを、いわば1対1で対応付けて考えることは、必ずしも適切ではないと思います。」

 これは4月10日の日銀金融政策決定会合後の会見における白川日銀総裁の発言の一部である。これは確かにそうではあるものの、市場の期待や注目が中央銀行の動向に集まってしまっちているときには、金融市場の変化に対して金融政策のスタンスは大きな影響を与えうる。それがまさにここにきての日欧米の市場の動きであるかと思われる。

 これまで最大のリスク要因は欧州の債務問題であったが、それが最も深刻であったのは、昨年11月から12月にかけてであった。その後、欧州のリスクは少しずつ緩和され、いわゆるテイル・リスクは後退した。それを後押ししたのが2月14日の日銀によるバレンタイン緩和であったが、その流れを止めてしまったのは3月に入ってのFEDによる追加緩和期待の後退がきっかけとなった。

 白川総裁も会見で、大きなリスクオンの流れの中で、日本銀行の金融緩和政策の効果もあったと思いますと発言し、それを認めている。いや、それが追加緩和の大きな狙いであった可能性も高い。

 「この数週間の変化でみると、このリスクオンの流れが、スペインの問題、イタリアの問題、あるいは米国の雇用統計の解釈を巡って、また少しリスクオフの流れ、モードになってきていると思います。」と総裁は指摘していたが、それよりもECBが南欧諸国の国債買入をとりあえず停止したことや、2回目の3年物の資金供給オペの実施で、いったん追加緩和が打ち止めになったことの影響も大きい。さらにFRBのQE3への市場の期待も強いが、それについてはバーナンキ議長も言質を与えず、このため市場ではFRBによる追加緩和への期待も不透明であることも、リスクオフの流れとなった要因となっているとみられる。もちろん3月に続き4月も追加緩和は見送った日銀の動向も影響していたとみられる。

 それだけ現在の日欧米の金融市場は中央銀行による追加緩和への期待を強めている、というよりもそれに依存しすぎているような状況にある。

 しかし、現実には白川総裁が次のように指摘しているように試行錯誤の状況にあるとともに、それによる将来の副作用などについても、当然ながら意識せざるを得ない。

「どの中央銀行も、金利はほぼゼロ、中央銀行のバランスシートは非常に拡大しています。バランスシートの中身を見ても、非伝統的で、従来であれば買っていなかったような 資産もたくさん買っています。そういう中で、どうやって中央銀行の使命を遂行していくかについて皆が努力をしている、」

 市場は過度な要求をするものの、視線が中銀の金融政策から離れてしまうと、今度は過剰反応はしなくなる。もちろん作為的に金融政策から目を背けさせるようなことは必要ないが、金融政策への依存度の高すぎるような状況からは脱却する必要もある。あくまで中銀の金融政策は時間稼ぎに過ぎない。その後は、「企業、金融機関、政府、日本銀行が、それぞれの役割や持ち場に則して、全力を尽くしていくことが大事」(白川総裁)であるはずであるが、どうも要求は中銀に集中してしまう事態をなんとか打破する必要もあり、このあたり政府の動向も大きなカギとなろう。

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by nihonkokusai | 2012-04-16 10:06 | 日銀 | Comments(0)
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