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危ない橋を渡った日銀

 2月14日の日銀による政策変更により、日銀に対する緩和要求圧力がさらに強まりつつある。2月14日の金融政策決定会合では、中長期的に持続可能な物価の安定と整合的な物価上昇率として「中長期的な物価安定の目途」を示すことにすることを決定した。さらに緩和強化をはかるため、日銀は基金の増額も行った。これは円安と株高の動きを促進させようとの意図があったとみられ、現実にその後の円安株安を加速させる要因となった。

 これによりこれまで日銀に対して、インフレ・ターゲットを採用するよう発言していた人達を勢いづかせることとなり、その影響が各所で見られ始めるようになった。

 自民党は4月4日の午前の財務金融部会で、日銀法改正案原案を公表した。この原案では、物価目標を政府が定め、物価目標にその達成時期も明記し、実現できなかった際は、政府が日銀に説明を求めることができるようにするとともに、衆参両院の同意があれば総裁ら執行部を解任する権限も持たせた。物価目標の達成を目的として、為替の売買を日銀が実施できるようにすることも示した。

 日銀は実質的なインフレ目標政策を導入したが、これにはなんら縛りはない。これに対して自民党は日銀法を改正し、目標を達成できないならば日銀総裁ら執行部を解任できる権限を政府に持たせようとするものであり、さらに為替についても日銀に責任を持たせるなど、物価と為替を金融政策で調整させるという非常にリスクの高いものを改正日銀法で決めようとする動きである。

 さらに中村清次審議委員の後任としてBNPパリバ証券経済調査本部長・チーフエコノミストの河野龍太郎氏を起用する人事案は5日に、参院本会議で自民、公明、みんななど野党各党の反対で不同意となった。河野龍太郎氏の起用に対する反対意見として、公明党は「金融政策の考え方に党内に異論あるため」とコメントしており、みんなの党の渡辺喜美代表も、「あまりにも役所寄りのスタンスが激しいので反対する」とのコメントがあったようである。自民党については、山本幸三衆院議員は「インフレ目標政策に反対しており、日銀寄りの発言しかしていない」との指摘もあった。

 みんなの党や公明党はさておき、自民党が党として反対したことには気をつける必要がある。たしかに山本幸三衆院議員のようにいわゆるリフレ派と呼ばれるような人達が自民党内にも存在するが、自民党の与党時代の動きを見る限り、日銀に一定の独立を認めるべきとした議員も多かったはずである。しかし、野党となってしまうと、このあたりの意識も薄れてしまうというのであろうか。

 審議委員ポストは二人空席となったが、果たしてこのような状況下で審議委員のなり手は現れるのであろうか。仮になり手がいたとして衆参両院の同意は可能なのか。それよりも来年任期満了となる白川総裁の後任もかなり気になる。日銀が自ら招いてしまったことではあるが、2・14のバレンタイン緩和をきっかけに、今後、日銀への政府の関与を強めてしまうようなことになれば、日銀の信頼が揺るぐ懸念もあろう。


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by nihonkokusai | 2012-04-09 11:17 | 日銀 | Comments(0)
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