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日銀入行式における白川総裁挨拶より、日銀の役割とは

 都心も桜も開花し始めたが、日本橋本石町にある日本銀行でも4月2日に入行式が執り行われ、そこでの白川総裁の挨拶文が日銀のサイトにアップされた。今日はここから日銀の在り方について探ってみたい。

 白川総裁は、中央銀行は非常にユニークな存在であるとし、中央銀行の本質は「銀行券という誰もが無条件で受け取る通貨を自らの判断で発行できる力を持っていること」に求められるとしている。この力がいかに強力なものであるのか総裁は次のような例えを出している。

 「仮に皆さんが買い物をした後、返済期限のない、しかも無利子の借用証書を出して、お店の人がその借用証書を受け取ってくれるかどうかを想像するだけで、ご理解頂けるのではないかと思います。」

 我々にとり通貨は当たり前のように存在している非常に便利な道具である。当たり前すぎて、その価値が何により裏付けられているのかといったことはほとんど意識していない。しかし、通貨と同じ無利子の借用証書を自ら出しても、それを商品と引き替えに使うことはかなり困難であることは理解できるであろう。これはなかなか良い例えかと思う。

 「日本銀行は、それだけ強い力を与えられた組織であり、社会に対する責任も大きいということを、まず頭にしっかり入れて頂きたいと思います。」

 何故、これほどまでに強力な組織が政府とは別に作られてきたのかは、中央銀行の過去の歴史を確認することをお勧めしたい。この力の裏腹に、中央銀行はその力の使い方に、厳しい規律が求められる。通貨を発行するという力を使って「物価の安定」と「金融システムの安定」という二つの使命を達成することが求められている。このあたりの発言は、それではデフレに対処するには通貨を発行する力を使えば良いとの意見も出てきそうだが、通貨供給量と物価の安定については意見も分かれるところである。とにかくも、日銀には「物価の安定」と「金融システムの安定」という二つの使命が求められている。

 総裁は日本銀行には、法的な独立性が与えられているとして、それと同時に、「中央銀行の独立性の究極的な拠り所は、通貨の発行という仕事はこの組織に任せて大丈夫だという、人々からの信頼感によって支えられているということを忘れてはなりません。」

 このあたりが大きなポイントとなりうる。中央銀行の信頼・信認があればこその通貨の信頼・信認に繋がる。日銀の独立性に疑問が出るようなことになれば、日銀への信頼、しいては日銀券への信用失墜に繋がりかねない。

 そして総裁は一方で、中央銀行は、「社会や経済の変化に対応して、進化し続ける存在」でなければない」と指摘する。これは今年2月14日の日銀による大きな政策変換のことも意識しているのであろうか。

 中央銀行が変わらぬ使命を達成し続けていくためには、何が必要なのか。総裁は二つの力を身につけ、高めていくことが必要だとしている。一つは、「今起きていることを正確に認識し先行きを見通す力を磨くことです。そうした力を磨くためには、変化を感じ取る鋭敏さ、労を惜しまない意志や情熱、そして、新たなことに挑戦していく心が大切です。」

 このあたり、これまでの日銀の金融政策の変遷を示しているようにも思われる。ただし、今起きていることを正確に認識し先行きを見通すことがいかに難しいことであるのかは、リーマン・ショックや欧州の信用不安で総裁をはじめとする日銀幹部も痛感したのではなかろうか。

 そしていま一つの身につけるべき力として、中央銀行としての「実務」を遂行していく力を不断に高めていくことを指摘している。日銀は研究機関ではなく実務部隊である。このことも非常に大きな日銀の働きともなっているし、現場に接しているからこそ、いろいろと見えてくるものがあるのも事実であろう。


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by nihonkokusai | 2012-04-04 09:43 | 日銀 | Comments(0)
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