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ディーラーは逆張りで何故、損をするのか

 AIJ投資顧問の損失が発生した様子が少しずつ明らかになりつつある。当初は株式オプションでの売りを行っていたようだが、最初は儲かったもののその後祖損失を発生させ、その損を取り返そうと、営業畑出身の浅川和彦社長自ら相場に手を出したようである。その際に、ディーリングのような格好で債券先物を使った取引も行ったようで、逆張りにより損失を発生させたとの記事もあった。このあたり、相場で一番やってはいけないことをしていたものと予想される。

 「彼らはたぶんに当初は程度儲けを出したのではないかと思われる。たまたま、勝ったにもかかわらず自分の実力と過信してしまった可能性が強い。まわりでもちやほやされ、一時的に損を被ってもいずれ取り戻せると思い込み、ポジションを次第に膨らませて、結局、多額の損失を被ってしまう。」

 上記は私が1999年に書いた「マーケット・サバイバル」の一節である(この内容は「日本国債先物入門」にも収録)。この「彼ら」というのは、ベアリングのシンガポール支店のニック・リーソン、大和銀行ニューヨーク支店の井口俊英、住友商事の浜中泰男などを指している。また、「マーケット・サバイバル」ではデイトレーダーの陥りやすいものとして、次のようなことも指摘した。

 「必要なのは日中の値動きに如何にうまく飛び乗って飛び降りるかである。このため、必然的に相場に入るのは順張り型とならざるを得ない。つまり上昇相場に勢いがついたときに飛び乗って、ある程度上昇したところで利食い売りをして手仕舞う。特に下げ相場は上昇相場に比べてピッチが早いことが多く、急落の展開とはデイトレーダーにとっては大きな収益チャンスである。相場が大きく乱高下していれば、順張り型のデイトレーダーにとっては大きな収益チャンスである。」

 「逆張り型のデイトレーダーが果たして存在しているかどうかわからないが、急落するような相場では逆張りしていればまず収益は得られず、それ以上に大幅に損失を蒙ってしまうはずである。ただし、うまいデイトレーダーは大きな流れの変化にも機敏に対応できるようで、順張りで望んでいたのが、あるタイミングで反対のポジションで仕掛け、そこでも収益を得ている。値動きなどで価格の流れをある程度読み切っていると思われるが、残念ながら私はここまで器用にはできなかった、これが可能なのはディーラーの中でも100人に一人の天才型のディーラーである。」

 このように相場では流れに逆らわずにそれに乗るほうが儲けやすい。しかし、相場の格言として「安いところで買って高いところで売る」というものがある。これはまさに逆張りと呼ばれる手法であるが、問題なのはどこが高くて、どこが安いのかを見分けることができないとお話にならない点である。つまり、天才的な相場観でも持っていない限り高値や安値を正確に見分けることなどできはしない。逆張り型が陥りやすいのは、自分の相場観を信じるあまり、下値で買ったものの、相場がそこから下げてしまっても損切りせずに、さらに買い乗せしてしまう、いわゆるナンピン買いをしてリスクを倍加させ、損失をさらに膨らませることになってしまうことである。

 逆張りは、天才型のディーラーでなければかなり難しい。このあたりの鉄則すら、AIJの浅川和彦社長は知らなかったようである。実はこのような大きな損失を発生させやすいディーラーは現実にかなり存在していた。ただし、社内ディーラーであればチェック機能が働き、このようなディーラーは配置転換等させられていた。しかし、AIJの場合には社長自ら手を染めていたことで、その損失については隠蔽してしまった結果、大きな問題に発展してしまったものと思われる。相場を張るのであれば、基本的な鉄則程度は学ぶべきであり、また向き不向きも存在し、自分には向いてないと思ったら、手を出すべきではない。相場の世界はそんなに甘いものではなく、非常に恐い世界でもあるのである。


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by nihonkokusai | 2012-04-02 09:33 | 投資 | Comments(0)
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