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消えたフレーズ、貯蓄から投資へ

 拙著「図解入門ビジネス 最新金融の基本とカラクリがよ~くわかる本[第2版]」がまもなく発売される。これは2006年12月に出した「最新金融の基本とカラクリがよーくわかる本」の改訂版となる。

 この本の改訂にあたり、古くなった部分を最新のものに修正する作業を行ったのだが、その中で「貯蓄から投資へ」というフレーズをどうしたら良いものかと悩んだ。2006年当時は、個人の貯蓄中心となっていた金融資産の一部を投資に振り向けようとの動きが続いていたのである。

 このような動きは過去にも例があった。高度成長により証券市場も成長した結果、1961年に投資信託の残高が4年前のおよそ10倍の1兆円を突破した。このとき流行ったフレーズが、「銀行よさようなら、証券よこんにちは」というものであった。しかし、1964年、つまり昭和39年に東京オリンピックが終了したあと、40年不況を迎え、1965年5月には山一證券への日銀特融も実施されたのである。

 2006年当時はまだ「貯蓄から投資へ」というフレーズは残っていたのだが、その後「銀行よさようなら、証券よこんにちは」というフレーズが流行したあと起きたような金融ショックが日本を覆うことになる。しかし、これは40年不況のように内生的なものではなく、海外で発生しそれが日本にも波及したものである。

 サブプライム問題やリーマン・ショックにより、証券化などを含めて複雑な金融商品への問題点が浮き彫りになり、その後の欧州の信用不安により、リスク回避の動きがさらに強まった。国内では歴史的な円高進行もあり、株の低迷に加え、投資信託などにも大きく影響した結果、個人による投資意欲は後退し、むしろ安全資産として貯蓄に回避するような事態になったのである。

 しかし、この動きも2012年に入り流れが変わってきた。急激な円高と、それも影響しての株安の流れが変わり、円高調整と株価の反発が生じた結果、日経平均は1万円台を回復してきたのである。

 これにより再び「貯蓄から投資へ」のキャッチフレーズが登場することは考えづらいが、過度に安全資産に資金が集中してしまった反動は起こりうる。昭和40年不況のあとで証券市場が再度活況を呈したように、日経平均が上昇圧力を強め投資信託などに資金が向かうことも十分に考えられる。今度は別にあらたなキャッチフレーズが登場するのかもしれない。

 「銀行よさようなら、証券よこんにちは」というフレーズが過去のものとなったように「貯蓄から投資へ」というフレーズも過去のものとなろう。金融の本質は変わらないものの、このような歴史が何度も繰り返されるのが金融の世界でもある。証券投資をする際の基本は安いところで買って高いところで売るということである。つまりはこのようなキャッチフレーズが忘れ去られたようなとき、つまり証券投資が下火になったときに買い、「証券よこんにちは」とか「貯蓄から投資へ」といった新たフレーズが出てきたころにはそろそろ手放すことを考えるのが必要なのかもしれない。


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by nihonkokusai | 2012-03-21 11:43 | 投資 | Comments(0)
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