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日銀による成長基盤強化支援の拡充策について

 3月13日の日銀金融政策決定会合では、政策金利や資産買い入れ基金の規模の変更はなく現状維持としたが、成長基盤強化を支援するための資金供給(成長支援資金供給)を拡充することを決定した。

 2010年6月に日銀は成長支援資金供給を導入した。これは成長分野への投資促進に向け、民間金融機関に政策金利の0.1%で貸し出すものである。この貸付総額の残高上限は3兆円としていたが、新規貸付の受付期限を2014年3月末まで2年延長するとともに、貸付枠も3.5兆円に5千億円増額することとした。

 また、昨年6月に出資や動産・債権担保融資など、不動産担保や人的保証に依存しないABLと呼ばれる融資を対象に、5000億円を上限として、年0.1%の金利で原則2年とし1回の借り換えを可能とした最長4年の貸し付けを行う新しい枠組みを導入していたが、これについても、5000億円の貸付枠のもとで、新規貸付の受付期限を 2014年3月末まで2年延長することとした。

 さらに成長支援資金供給では対象としていない小口の投融資を対象に、新たに5000億円の貸付枠(小口特則)を導入することも決定した。対象となるのは、日本経済の成長に資すると認められる1件当たり100万円以上1000万円未満の投融資。対象先金融機関は成長支援資金供給の対象先金融機関。有担保貸し付けで、貸付期間は1年とし3回の借り換えを可能とする(最長4年)。貸付利率は貸付実行日における誘導目標金利、つまり現行では年0.1%となる。

 そして、成長に資する外貨建て投融資を対象に、日銀が保有する米ドル資金を使い、新たに1兆円の貸付枠(米ドル特則)を導入することも決定した。対象先金融機関は、成長支援資金供給の対象先金融機関のうち、ニューヨーク連邦準備銀行に米ドル口座を保有する先および同行に口座を保有する先へ米ドル決済を委託している金融機関。米ドル資金の有担保貸し付けとなり、貸付期間は1年、こちらも3回の借り換えを可能とする(最長4年)。貸付利率は市場金利となる。

 ちなみに、この米ドル特則は、日本企業のM&A(合併・買収)などを支援するのが目的とみられる(日経新聞)

 被災地金融機関を支援するための資金供給オペレーションについても、現行1兆円の貸付枠のもとで、貸付の受付期限を 2013年4月末まで1年延長し、被災地企業等にかかる担保要件の緩和措置についても、その適用期限を2014年4月末まで1年延長することを決定した。

 これらの融資については、デフレ脱却に向けての成長支援であり、今回、追加緩和は見送られたものの、日銀がデフレ脱却に向けての積極的な姿勢を示したといえよう。基金の増額は、どちらかといえばアナウンスメント効果が意識されたものといえる。もちろんそれにより、より長めの金利の低下に働きかけ、それによる効果もあろうが、実際にはこのような融資枠の拡大のほうが、直接的な効果があるように思われる。もちろんこれは、金融機関の自主的な取り組みを進めるうえでの「呼び水」としての役割としての期待もあろうが、政府の積極的な取り組みに対する「呼び水」としても意識されたものと思われる。


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by nihonkokusai | 2012-03-15 09:29 | 日銀
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