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円安株高となっても債券が売られない理由

 3月9日に日経平均は一時1万円台を回復し、12日の日経平均も1万円台でのスタートとなった。また外為市場ではドル円は82円台を回復するなど、歴史的な円高局面はここにきて後退しつつある。

 この円安・株高の背景には、ギリシャの債務問題を中心とした欧州の信用不安が後退してきたことが大きい。市場心理を計る具体的な指標はないが、昨年から今年にかけて、市場参加者の心理は悲観から楽観へと変化していたものと思われる。

 この背景としては、ギリシャの債務問題をなんとか解決しようとしている欧州諸国の努力もあるが、市場では日欧米の中央銀行による積極的な金融緩和策が功を奏しているとの認識である。

 欧州ではECBによる3年物の資金供給オペ(LTRO)の効果が発揮されている。ECBは二度に渡る3年物資金供給オペで総額1兆ユーロに上る流動性を供給した。これによりユーロ圏内の銀行の資金繰りが楽になり、金融システム不安が後退するとともに、その資金が周辺国の国債にも向かうであろうとの期待もあり、イタリアやスペインの国債利回りが低下した。それが欧州の信用不安の後退を印象づけた格好となった。

 米国では1月25日のFOMCにおいてFRBは物価に対して特定の長期的な目標(ゴール)を置くこととし、それをPCEの物価指数(PCEデフレーター)の2%とした。これはFRBが実質的なインフレ目標を採用したこととなり、大きな政策変換であったと思われる。

 このあたりターゲットではなくゴールとの表現など、過去にバーナンキ氏が議長就任前に持論であったインフレ・ターゲットをそのまま採用したというものでもない。大枠として物価を目標とすることではあるが、かなりフレキシブルな政策の余地を残すものであり、これはバーナンキ氏が学者ではなく現場のトップとしてこの選択を行ったことは適切なものであったかと思う。

 そして、このFRBの政策変更は日銀にも大きな影響を与えたと思われる。米国の動きにうまく便乗し、それにより政治的な圧力にも対応することにもなった。それにしても白川日銀はなかなか思い切った政策変換を2月14日に行ってきた。さらに資産買入等の基金をこれまでの55兆円程度から65兆円程度に10兆円増額することも決定し、緩和効果(心理的なものを含め)を強めることとなった。  日銀が2月の会合で買入を決定した対象は長期国債(期間1~2年)であった。つまりこれにより、2年債あたりまでの金利が0.1%に張り付くこととなり、それが5年債あたりまでの金利低下も招き、5年債利回りは0.3%近辺に低下した。

 日銀が今後、物価のゴールに対して能動的な金融政策を行うとなれば、今後いずれ国債の買入などを増額してくる可能性がある。そして、日銀は物価安定の領域として「消費者物価の前年比上昇率で2%以下のプラス」としたうえで、「当面は1%を目途とする」ことを明確にした。つまり現在のコアCPIは前年比マイナスであり、それがプラス1%に達するまではそれなりの期間も要するとの認識が市場で強まれば、いわゆる時間軸効果により、より長い期間の国債の利回りの低下圧力ともなる。

 金利を低位で抑え、積極的な資金供給とともにデフレ脱却に向けてこれまで以上に能動的な姿勢を見せてきた日銀に対し、市場はそれを好感し円安や株高の動きを加速させた。この日銀の動きは当面、金利の抑制圧力となり、実際にデフレ脱却の目処が見えるようにならなければ、長期金利そのものは上昇することは考えづらい。つまり現状の円安株高、そして長期金利の低位安定という状況がこれにより生まれている。

 もしデフレ脱却が見える前に債券が大きく売られる、つまり長期金利が上昇してくるとなれば、それは日銀の金融政策やファンダメンタルズとは別な要因が働いた場合となろう。何かしらの需給要因、もしくは何かしらのリスクプレミアムがオンされるような場合が想定される。そういった動きは現状、見出せず、当面の債券相場は高値圏でのもみ合い小動きが続くことが予想される。


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by nihonkokusai | 2012-03-13 09:54 | 債券市場 | Comments(1)
Commented by yutakarlson at 2012-03-14 09:54 x
日経平均は31円高で寄り付き、1万円回復に再挑戦−【私の論評】日銀のイン目処は、何もしないことの表明にすぎない!!この実体が周知されれば、元の木阿弥か?
ブログ名:「Funny Restaurant 犬とレストランとイタリア料理」

こんにちは。最近株価は上昇ぎみで、まだまだ円高基調には変わりがないですが、それでも、円安傾向になっています。これは、日銀のインフレ目処1%による影響によるものであると考えられます。ところが、このイン目処とんでもない騙しです。要するには、このイン目処は、日銀は何もしないことを表明しているに過ぎません。私のブログでは、このイン目処の正体を明らかにしました。この正体を市場関係者が見抜けば、また株価は下落し、円高基調にもどると考えられます。詳細は、是非私のブログを御覧になってください。
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