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日銀は能動的な金融政策に

 日銀の白川総裁は2月17日の講演で、2月14日に決定した政策について、次のように述べている。

 「今回、日本銀行のデフレ脱却に向けた政策姿勢をより明確にするという観点から、2つの点で見直しを図りました。第1に、時間軸の条件として、中長期的な物価安定の目途で示した当面の目途である1%という物価上昇率に明確に結びつけることとしました。第2に、具体的な政策運営指針については、実質的なゼロ金利の継続だけでなく、それ以外にも実際に行ってきた政策措置を踏まえて、より能動的な表現とすることが適当と判断しました。この結果、新しい時間軸政策として、次のような方針を採用しました。すなわち、当面、消費者物価の前年比上昇率1%を目指して、それが見通せるようになるまで、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入れ等の措置により、強力に金融緩和を推進していく、というものです」

 以前にこのコラムでは「物価に対する理解・目途・目標の違い」としてこの白川総裁の講演内容を紹介したが、この講演の議事要旨を見て気になっていたのが「能動的な」という表現であった。

 2月14日の日銀の金融政策決定会合では、中長期的に持続可能な物価の安定と整合的な物価上昇率として「中長期的な物価安定の目途(Goal)」を示すことにすることを決定した。「中長期的な物価安定の目処」とは、消費者物価指数の前年比上昇率で2%以下のプラス領域にあるとして、ある程度幅を持って示すこととした。その上で、「当面は1%を目途」として、金融政策運営において目指す物価上昇率を明確にしたのである。

 2月14日の政策変更において注意すべきは、政策姿勢をより明確にするとした「明確」という表現とともに、もうひとつ、総裁が「能動的」という単語を使ったことにある。つまり、これまでの日銀の姿勢はどちらかといえば「受動的」とみられていた。しかし、2月14日の政策変換により、その姿勢を180度転換し「受動的」から「能動的」な政策に変更したと思われるためである。

 これについて新たな証言が2月29日の衆議院財務金融委員会であったようである。白川総裁は衆議院財務金融委員会での質問を受け、今回の政策について「物価上昇率を引き上げるという要素を内に秘めた能動的な政策だ」と説明、「景気が良くなっていっても物価上昇率1%が見通せない時は、ゼロ金利を続け、資産買い入れを行っていくことを約束するものだ」と明言した(ロイター)。

 今回の日銀の政策変更については、さすがにマーケットはかなり意識したとみられ、それが円安の動きを加速させ、株高の一因となった。円安株高にも関わらず、長期金利が低位安定していたのは、日銀による時間軸の強化とともに、より能動的な政策に変わったとの認識も働いたためではなかろうか。ただし、長期金利が低位安定しているのは日本ばかりでなく、米国やドイツ、英国でも同様であるが。

 日銀の心構えが変わったとしても、それを行動で示す必要もある。そのために表現の変更だけでなく、資産買入等の基金をこれまでの55兆円程度から65兆円程度に10兆円増額し、その増額対象は長期国債(期間1~2年)とすることを決定したとみられる。

 つまり、今後もし金融政策の効果、つまり物価上昇の兆候が見られなければ、いずれ日銀は追加緩和を行う可能性があるということになる。それには今回と同様に国債を主体とした基金の増額を行ってくる可能性がある。そして、緩和効果をより高めるため、買い入れ対象の国債の残存期間の延長もいずれ視野に入る可能性がある。

 ただし、緩和効果はすぐに現れるわけではない。あくまで今回の目途も中長期的な期間を意識したものであり、緩和効果などを確認するためにもある程度の時間は置く必要がある。たとえば次回会合(3月12日から13日)での追加緩和を期待するというのは早計であろう。


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by nihonkokusai | 2012-03-02 09:51 | 日銀 | Comments(0)
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