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この5年間で金融は何が変わったのか

 2006年12月に出した「最新金融の基本とカラクリがよーくわかる本」の改訂版を出させていただくことになり、当時の原稿をあらためてチェックする作業を続けていた。

 当時の原稿の「まえがき」を読むと、「これから投資の勉強もしたいと言っている中学3年、中学1年、そして小学校6年の三人の娘たちにもこの本を捧げたいと思います」とあったが、その長女は今年4月に大学3年生となる。

 2006年12月から約5年経過したわけだが、その間、世界の金融市場は大きく揺れ動いた。2007年には米国でサブプライム問題が発生し、それをきっかけに2008年9月にリーマン・ショックが起きた。2009年10月の政権交代によりギリシャの粉飾財政が表面化し、2010年初頭からギリシャの債務悪化が問題視され、それがユーロ圏の信用不安を招くことになった。

 その間に金融の世界が様変わりしたのかといえば、金融のシステムそのものにはさほど大きな変化はなかったと思う。あらたな金融商品が生み出されたりするようなことはなく、このあたりは元の原稿に手を入れるところはあまりなかった。

 原稿を大きく修正する必要があったのは、特に「日本銀行の役割」とか「政府の役割」の部分であった。リーマン・ショックと欧州の信用不安に対しては、日米欧の中央銀行が積極的に対応策を講じたが、それはこれまでの伝統的手段ではなく、非伝統的な手段となった。そして、政府は積極的に財政政策を打ったことで、その反動として財政悪化を招くことにもなった。

 また、リーマン・ショックやギリシャ・ショックが直接影響したわけではないが、取引所のグローバル化が進み、また国内においても東証と大証が経営統合を発表するなど規模の拡大が進んだ。株価そのものは低迷していたが、その処理速度は速まるばかりであった。

 また、市場参加者である銀行や証券会社そのものもリーマン・ショックにより変化があった。さらにサブプライム問題やリーマン・ショックにより、証券化などを含めて複雑な金融商品への問題点が浮き彫りになり、その後の欧州の信用不安により、リスク回避の動きがさらに強まった。国内では歴史的な円高進行もあり、株の低迷に加え、投資信託などにも大きく影響した結果、「貯蓄から投資へ」という表現は修正しなければならなかった。

 この5年間で何が変わったかといえば、金融というシステムそのものに変化はあまりなく、むしろ金融がある程度成熟化してしまい、そこに内在された問題があらためてリスクとして浮き彫りになったということではなかったろうか。


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by nihonkokusai | 2012-03-01 09:52 | 投資 | Comments(0)
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