牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

プロの投資家とは

 28日の日経新聞によると、AIJ投資顧問が運用を受託した企業年金資産の大半が消失した問題を受け、金融庁は多くの企業年金を「プロ投資家」と扱う現行の仕組みを見直す検討に入るそうである。資産規模が小さく運用体制が不自由分な場合は「一般投資家(アマ)」と見なし、金融商品を提案する際にはきめ細かい説明を金融機関に求める方向であるとか。

 2007年施行の金融取引法では、リスクのある金融商品の販売方法を厳しく規制する一方で、投資家を資産規模などに応じて一般投資家(アマチュア)と特定投資家(プロ)に分類している。

 法人投資家の場合、地方公共団体、政府系機関、上場会社、資本金の額が5億円以上の株式会社等、個人投資家の場合、取引の状況等から合理的に判断して純資産額及び投資性のある金融資産が3億円以上と見込まれ、かつ、最初の契約を締結してから1年を経過している者が特定投資家、つまりプロの投資家と認定される。

 相手がプロであるならば、複雑な書類を使った説明を受ける手間が省ける上に、プロ限定の私募投資信託に投資できるなどの「利点」があるそうである。つまり、AIJの問題に対して金融庁は、規制強化ではなく現行の規制の対象を見直すことで対応するとしている。

 AIJ投資顧問の問題については、運用益が出たのは最初の1年だけで、その後は損失を出し続けていたとの同社幹部による証言もあったようだが、これではそもそも資金運用者がプロとは言えまい。損失を隠していたことはプロとかアマという以前の問題であり、これも金融機関のプロとは決して言えない。

 投資家のプロとアマの線引きをすることそのものが、たいへん難しい問題であり、アマチュアだから詳しく説明をすれば良いという問題でもそもそもなかろう。

 投資家のプロというのは、投資のリスクを理解した上で、自らの判断で資金運用ができるものであろうが、そこにひとつ重要な要素がある。それは経験と知識である。だから、個人については「1年を経過している者」という条件が付いていると思うが、これはあくまで自ら相場に直接関わった経験でなければならないはず。他人に運用を任せていては、現場での相場感覚は身につかず、投資のプロとは言えまい。

 さらにもうひとつ必要なのが金融知識である。ある程度の金融知識と相場経験があれば、いくら巧妙に隠していたとはいえ、AIJの投資手法に疑問を感じる部分があったのではなかろうか。投資のプロであれば投資先の運用手法についても、ある程度は把握していなければならないはずである。それがわからなければ運用は任せるべきではない。結果の数字だけで判断するのでは、プロの投資家とは言えまい。

 投資家のプロの理想像を追い求めるわけではないが、会社の規模や資産額などでプロとアマを区別することには、やはり疑問を感じる。少額の個人投資家でも、投資のプロはいるとみられ、AIJのように本来はプロ中のプロのような法人投資家でも、アマチュアのような投資家が存在する。自分のディーラー経験からも、いろいろなプロの投資家が存在するのを見てきた。中には、今回のAIJのように犯罪に手を染めた者もいた。もちろん、安定的に利益を出せるディーラーもわずかながら存在していたことも確かではある。

 投資にはリスクが伴うというよりも、投資により利益を生み出すことそのものが容易ではない。プロの投資家であれば、まず知っておかなければいけないのは、この部分ではなかろうか。


*** 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ、通称、牛熊メルマガでは毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。毎営業日3本届いて、価格は税込で月額1050円です。登録申込当月分の1か月は無料でお読み頂けます。ご登録はこちらからお願いいたします。
http://www.mag2.com/m/0001185491.html

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp






[PR]
by nihonkokusai | 2012-02-29 09:28 | 投資 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー