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14日の決定会合での全員一致には違和感

 2月14日の日銀の金融政策決定会合では、中長期的に持続可能な物価の安定と整合的な物価上昇率として「中長期的な物価安定の目途」を示すことにすることを決定した。さらに緩和強化をはかるため、日銀は基金の増額も行った。この決定の採決については、委員全員が賛成した。

 今回の日銀による政策変更は「中長期的な物価安定の理解」から「中長期的な物価安定の目途」と言葉を換えただけに過ぎないとの見方は適切ではなかろう。これは、「当面は1%を目途として、金融政策運営において目指す物価上昇率を明確にした」との「中長期的な物価安定の目途」に関する表明文からも明らかである。

 インフレ・ターゲットの定義・解釈はいろいろとあるかもしれないが、インフレ・ターゲットとは、物価上昇(インフレ)率の目標値(または範囲)を設定・公表して、その達成に向けて中央銀行が金融政策運営を実施するという金融政策の「枠組み」であるとの見方があり、今回はまさに日銀はこれに沿った格好での政策変更を行ったともいえる。さらにこの政策変更は表現の変更だけに止めず、予想外ともいえる基金の増額も実施した。ここにきての外為市場や株式市場での、円安株高の動きなどからみて、市場参加者の多くはここまでの動きは想定していなかったと思われる。

 実質的なインフレ・ターゲット政策ともいえる今回の政策変更に際して、政策委員が全員一致で賛成したことに対しては疑問が残る。もちろん大きな政策変更であるから、全員一丸となって政策を取り決めたとの姿勢も重要かもしれないが、まったく反対意見はなかったのであろうか。

 FRBが物価に対して特定の長期的な目標(Goal)を置くこととし、結果としては日銀もそれに追随した格好となった。これは政治的な圧力も見据えての動きととられても致し方がない。このあたり、タイミングからも反対する意見はなかったのか。少なくとも日銀内部にはインタゲに対して過去には否定的な意見もあったはずであり、全員一致というのは、むしろ腑に落ちない。

 以前にも指摘したが、出身母体も異なる9人の委員がまったく同じ意見であるということは考えづらい。もちろん会合内での意見の対立があった可能性は十分にある。しかし、それが採決そのものに反映されていないとなれば、やはり委員会制度となっている政策委員会が形骸化しているのではないか、とみられてもおかしくはない。

 自分がもしも政策委員であったならば、今回の政策変更については反対していたと思う。このタイミングで、何故に日銀とすれば大きな政策変更とも言える、実質的なインフレ・ターゲットを採用しなければならないのか、その理由がはっきりしないためである。デフレに対して強力に対応するとするのなら、今までいったい日銀は何をしていたのか、ということにもなりかねない。また、ここにきて急激にデフレ圧力が強まっているわけでもない。今回の政策変更の理由が納得できないとの理由での反対はおかしいであろうか。


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by nihonkokusai | 2012-02-17 09:46 | 日銀 | Comments(0)
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