牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

再び拡大している日銀による国債保有額

 昭和40年代に発行された国債は、国債引受シンジケート団と大蔵省資金運用部によって引き受けられていた。シ団引受の一部は市中消化されたが、ほとんどはシ団メンバーの金融機関が保有した。金融機関が引き受けた国債の市場売却は、事実上自粛されていたが、1967年1月より日銀は買入債券の対象に発行後1年経過の国債を追加したことで、金融機関の保有する国債はほぼ全額このオペによって吸収されたのである。これが日銀の国債買入の始まりである。

 日銀は2001年3月19日の金融政策決定会合において、量的緩和政策を決定した。金融機関が日銀に預けている平均4兆円程度ある当座預金残高を5兆円になるように促すことが決定され、また国債買い切りの額を4千億円から増額することとしたのである。しかし、これは歯止めがなければ擬似的な日銀による国債引き受けともなりうるために、日銀券の発行残高を上限とするキャップを内規として設定した。

 日銀サイトにある国債保有額を日銀勘定の資産・国債からデータを抽出したところ、量的緩和政策を導入した2001年3月時点で58兆円程度(短期国債含む)であった。8月の決定会合で長期国債買入を月々4千億円から6千億円を決定したが、その8月時点で78兆円の保有額となっていた。

 2001年12月には長期国債買入を月々6千億円から8千億円ペースに増額した。さらに2002年2月の政府の総合デフレ対策をフォローするために、日銀はさらなる追加緩和を決定し、長期国債の買入を月1兆円ペースに増額した。これにより、日銀による国債保有額は2002年2月に約84兆円と80兆円を超えてきた。

 2002年1月に日銀は国債買入れオペ対象を、それまでの1年ルールを撤廃し、発行年限別の直近発行2銘柄を除くに拡大した。2002年10月にも政府の総合デフレ対策に呼応して追加緩和策を決定し、国債の買入れ額を月1兆円から1兆2千億円に増額した。2003年3月に日銀総裁が福井俊彦氏に変わってからは、毎月の国債買入額そのものは据え置かれたが、2003年9月には保有額が90兆円台に達し、2004年3月に100兆円台に乗せたところでピークアウトした。

 2006年3月9日の金融政策決定会合で日銀は量的緩和策を解除し、2006年7月14日にはゼロ金利政策も解除した。2006年3月時点での国債保有額は約93兆円、7月には約84兆円と減少してきており、2008年12月には約63兆円まで減少した。

 これは毎月の買入額に変化がなくとも、それ以上に国債償還額が大きくなると残高そのものは減少するためである。反対に買入額よりも償還額が少なければ保有額は増加することになる。日銀は量的緩和時において、保有する国債の平均残存期間を短縮化していたこともあり、これも日銀の国債保有額の減少に影響したとみられる。

 しかし、2008年12月の決定会合で長期国債の買入額を月1.2兆円から1.4兆円に増額した。この際に、買入れ対象に30年債、変動利付国債、物価連動国債を追加、さらに残存期間別の買入方式(残存1年以下、1年超から10年以下、10年超)を導入した。このため、その後の日銀の国債保有額は再び増加する。2009年3月に長期国債の買入れを月1.4兆円から1.8兆に増額し、2009年10月に国債保有額は再び70兆円台を回復したのである。

 2010年6月に日銀は包括緩和策を決定し、実質的なゼロ金利政策を再開し、時間軸政策とともに基金オペの実施を決定した。買入開始から1年後を目処に、基金により長期国債と国庫短期証券を合計3.5兆円程度買い入れることとした。この基金による長期国債の買入は、現行の長期国債買入とは異なる目的のもとで臨時の措置として行うものとし、これにより買入れて保有する長期国債は、日銀券ルールには縛られないかたちでの国債買入としたのである。

 また、2011年3月に資産買い入れ基金を増額し、その中には長期国債と短国の増額も含まれた。また、8月と10月にも基金の増額を実施した。その結果、日銀の国債保有額は増加し、2011年11月には再び90兆円の大台に乗せてきたのである。


*** 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ、通称、牛熊メルマガでは毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。毎営業日3本届いて、価格は税込で月額1050円です。登録申込当月分の1か月は無料でお読み頂けます。ご登録はこちらからお願いいたします。
http://www.mag2.com/m/0001185491.html

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp




[PR]
by nihonkokusai | 2012-02-09 09:59 | 日銀 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31