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何故、イタリアやベルギーの国債が売られたのか

 ギリシャの債務削減交渉が大詰めを迎える中、イタリアなどの国債利回りの動きを見ると、急速に信用不安が収まってきた様子がうかがえる。イタリアの10年債利回りのグラフからは、二度にわたり、7%台に乗せた後、現在は5%台に低下している。スペインの10年債も、6%台半ばあたりから、一時、5%割れまで低下した。そして、ベルギーの10年債も一時6%近くに上昇したが、今度は4%割れとなっている。

 いったいイタリアやスペイン、ベルギーについては何故、それほどまで利回りが上昇しなければならなかったのか。

 今回の利回り低下の背景としては、ECBによる資金供給のよる影響が大きかったとの見方が強いが、それでイタリアの信用が戻ったわけではないはずである。ECBによる資金供給は国債需給面で多少、影響はあったかもしれないが、今回のこれらの国の金利低下は、欧州の信用不安そのものが後退したためである。

 ギリシャは確かに問題を抱えているのは確かであるが、イタリアにそれほど大きな財政上の問題があったのか。イタリアのプライマリー・バランスは黒字であり、ベルギーは経常黒字の国である。今回の欧州の信用不安は、まさに不安の連鎖であり、その不安を沈めることが最大の問題解決法であった。

 いまはたぶんそれに成功しつつあるのではないかと思う。これにはドイツやフランスのトップが何度も協議を繰り返し、またユーロ首脳会議でも真剣に時間をかけて協議を行い なんとしてもユーロというシステムを守ろうと不断の努力を行ってきたことを、市場も理解し始めたのではなかろうか。

 信用は移ろいやすい。だからこそ、ソブリンリスクが国債の利回りの変化を促し、火が付いたところに格付け会社が油を注いだ。しかし、火が消え去れば油を注いでも、もう燃え広がらない。

 これで欧州の信用不安が解消されたというのは早計かもしれないが、ヤマ場は超えたのは確かであろう。周辺国の利回り上昇が落ち着けば、金融機関への影響もその分、減少する。もちろんギリシャの問題の影響は今後も残るが、損失額が明らかになれば、不透明感も払拭される。

 市場にとって先が見えないことほど恐いものはない。これは市場に限らずそうであろう。だからこそ、イタリアやスペイン、ベルギーの国債利回りも以上なほど上昇したのであろう。しかし、先々がある程度見えるようになれば、不安は急速に収まる。それが今の姿かと思う。

 国債に対する信用不安が生じた際に、どのようなことが起きるのか。今回のユーロ圏諸国の国債の動きは、たいへん貴重な事例になろう。米国債もあと15年か20年で危機を迎えるといった見方もあるが、それより前に危機を迎えるであろう国の国債もある。このためにも、貴重な事例研究として今回のユーロ圏の動きはたいへん参考になるのではなかろうか。


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by nihonkokusai | 2012-02-09 09:43 | 国債 | Comments(0)
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