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FRBの金融政策の方針と日銀の物価安定の理解の違い(山口副総裁の会見より)

 2月3日の日銀の山口副総裁記者会見において、1月にFRBが出している方針と、日銀が既に出している物価安定の理解がどう違うのか、改めて確認させて頂きたいとの質問に対し、山口副総裁は下記のように答えている。

 「私どもは、消費者物価でいえば前年比で2%以下のプラスの領域、中心値としては 1%程度になることが中長期的にみての物価の安定である──物価が安定した状態である──という理解をしています。米国は、ロングランのゴールとして、すなわち長い目でみた目標として 2%という数値を出しているので、相違点の1つは、当然、この数値上の違いです。」

 実はこの数値の違いに関して、もう少し踏み込んだ説明がほしかった気がする。イングランド銀行はインフレ率がインフレ目標値の消費者物価指数で2%の上下1%を越えると、公開書簡を財務相に送って説明することが義務づけられている。 またECBも物価の目標水準は2%を若干下回る水準としている。これに対して日銀は1%としており、欧米中銀との1%程度の開きは日本のデフレ圧力の強まり等が意識されているのかどうか、そのあたりももう少し明確にしてほしい気がする。

 「一方で、類似点も実は結構あります。1つは、彼らは物価の目標だけを掲げて政策運営を行うのではなく、いわゆるデュアルマンデートのもとで、雇用にも目配りしながら物価の安定も図っていくという立場であることを、バーナンキ議長自身が明確に語っています。私どもも、中長期的にみて物価が安定している状態について明確に表現すると同時に、金融的な不均衡その他のリスク要因を抱え込むことがないかどうかをチェックしながら、物価の安定を図っていくという考え方を示しています。」

 つまりFRBが今回導入したコミュニケーションの方法と、日銀の「中長期的な物価の安定の理解」を示しながら政策の構えを示す方法は、考え方において基本的に変わりはないと指摘している。

 FRBは物価と雇用という2つの目標を掲げているため、目標を一方に絞り込んで金融政策を行うのではなく、雇用等、つまり景気等を含めて、全体的なバランス等を意識しながら政策運営を行うことで、日銀の政策に近い。これについては形式的にインフレ目標を採用しているイングランド銀行も同様であろうし、もちろんECBはそれとともにユーロ域内の信用不安にも目配りしなければならない状況にある。現在の中央銀行は、物価だけを意識して金融政策を行うことはできず、最終的に物価の安定を目指すが、そのためには景気動向などを含めて視野を広げて政策を行う必要がある。

 さらに山口副総裁はFRBの時間軸の強化に関して、次のように述べている。

「米国についても、経済状況その他について条件付けをしながら時期を明らかにしているということであり、2014年の遅くというのは、何があってもそこまで今の極めて低い金利水準を必ず続けるという約束ではないということです。」

 日銀の場合には時期を明定せず、中長期的にみた物価の安定が展望できる情勢になったと判断できるまでとしているが、米国についても2014年まで絶対に超低金利政策を行うとしているわけではなく、あくまでの委員の現在の予測にすぎない。経済環境の変化により、それ以前に仮に利上げを行ったとしても公約違反に問われるようなことはないことは確かである。


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by nihonkokusai | 2012-02-07 08:20 | 日銀 | Comments(0)
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