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物価連動国債の再発行に向けた動き

 2月3日付けの日経新聞によると、財務省は物価連動債の再発行に向けて、発行条件を見直す方向で検討を始めたようである。デフレが長期化しても価値が目減りしないように元本保証を付け、早ければ2012年度の発行を目指すそうである。

 物価連動債はインフレ連動債とも呼ばれ、物価上昇率(インフレ率)に応じて、元本が調整される債券のことである。イギリスで1981年に発行が開始されて以降、欧米諸国を中心に発行されている。ちなみに米国の物価連動国債は「Treasury Inflation Protection Securities」、略してTIPSと呼ばれている。

 通常の固定利付国債は発行時の元金額が償還時まで不変で、利率も全ての利払いにおいて同一となる。つまり発行後にもし物価が上昇すると、名目ではなく実質ベースでみた通常の固定利付国債の債券価値は低下してしまうが、物価連動債の場合、クーポン利率は固定であるものの、物価上昇に連動して元本が増加するため、インフレの際にも実質的な価値が低下しない債券となる。

 これまで発行されていた日本の物価連動国債について、財務省のサイトにある「物価連動国債の商品設計」では次のような説明がある。

 「物価連動国債の発行後に物価が上昇すれば、その上昇率に応じて元金額が増加します(以下、増減後の元金額を想定元金額といいます。)。償還額は、償還時点での想定元金額となります。利払いは年2回で、利子の額は各利払時の想定元金額に表面利率を乗じて算出します。表面利率は発行時に固定し、全利払いを通じて同一です。従って、物価上昇により想定元金額が増加すれば利子の額も増加します。」

「物価連動国債の商品設計」  http://www.mof.go.jp/jgbs/topics/bond/10year_inflation-indexed/syouhinsekkei.htm

 これまでの日本の物価連動国債の商品設計としては、満期10年、連動する物価指数は全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数)、物価が下落した場合の元本保証は設けない等となっていた。

 2004年3月から日本でも発行された物価連動国債の購入者は、主にヘッジファンドなどの海外投資家であった。国内投資家が物価連動国債の購入に慎重になっていたのは、そもそも国内投資家がインフレに連動する負債を持っていないことに加え、元本が保証されていないことにより満期保有ができないという商品性によるところが大きかった。

 ところが海外投資家がサブプライム問題などによる金融市場の混乱により、保有していた物価連動国債を売却したことにより、価格が急落し、買い手が不在となったことで流動性そのものが欠如する状況となり、財務省は2008年9月以降、物価連動国債の新規発行を凍結するという事態となったのである。

 米国やドイツ、フランス、イタリアなどでは価格下落時に元本を保証するというフロアの設定といった元本保証を導入している。市場参加者からは元本保証など商品性を変更した上での発行再開を望む声も強かった。このため財務省は米国などと同様に元本保証を付けた上で、早期の発行再開を目指して準備を進めている。2月10日には、市場関係者を交えて具体的な商品性や発行方法等に係る実務的な検討を進めるための「物価連動債の発行再開に関するワーキング・グループ」を開催するそうである。

 これまでの物価連動国債は個人は購入することができなかったが、個人向けの物価連動国債を要望する声もある。いずれ個人向けの物価連動国債が検討される可能性もありそうである。


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by nihonkokusai | 2012-02-04 09:47 | 国債 | Comments(0)
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