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あまり知られていない国債の決済の仕組み

 1月31日に財務省は「国債の入札から発行・買入までの期間を短縮します」との報道発表を行った。これによると「国債の流通市場において決済期間の短縮化が行われることを踏まえ、流通市場と同様に、平成24年4月23日以降の入札より、原則T(入札日)+2とします。国庫短期証券についても、同様に、入札から発行までの期間を原則T(入札日)+2とします。」とある。

報道発表 http://www.mof.go.jp/jgbs/topics/press_release/240131.html

 ちなみにT+1のTとは「Trade date」のことで証券の売買が成約された日、つまり約定日を意味する。慣行上、T+2は「ティ・プラスに」、T+3は「ティ・プラスさん」といった呼び方をしている。

 ここで少し国債の決済について確認してみたい。決済とは売買の約定したのち、代金と証券のやりとりを行うことである。国債の決済に関しては、1995年時点ですでにアメリカ、イギリスなどは約定日から起算して2営業日目(T+1)つまり翌日決済を行っていたが、日本ではまだ特定日決済の5・10日決済をおこなっていた。特定日決済とはある期間に約定された取引の決済をすべて特定の日に行う決済である。これに対して取引を常に約定日から一定期間経過後に決済するのはローリング決済と呼ばれる。

 その後、日本でも1996年9月19日の売買分より、約定日から起算して8営業日目(T+7)に決済を行うローリング決済に移行した。そして、1997年4月21日売買分からは約定日から起算して4営業日目(T+3)に決済を行うことになり、現在に至る。さらに、2012年4月23日約定分からは3営業日目(T+2)に決済を行う予定となっている。

 国債の入札に関しても、入札した業者は、その金額を日銀の口座に振り込むことになるが、入札から発行日(払い込み日)までは、通常の国債(2年国債を除く)は、現在は4営業日後となっている。ただし、2年国債については原則として、入札された翌月の15日(休日の際は翌営業日)となる。一部国庫短期証券で入札日が重なった際など5営業日渡しになるものがある。また、原則4営業日の5年国債と10年国債、それと20年国債、30年国債、40年国債については(リ・オープンを除き)、3月、6月、9月、12月の利払い月に限り、それぞれの利払い日(原則20日、休日の場合はそのあとの営業日)が発行日(払い込み日)となっている。

 これが4月23日から、2年債及び2年債以外の利付国債の3、6、9、12月における発行日は上記どおりのままであるが、それ以外で4営業日後となっているものについては、3営業日目の決済となる。ただし、財務省によると、個人向け国債や新型窓販の募集および個人向け国債の中途換金については、現行どおりとなり、国債の入札から発行等の期間については、入札スケジュール等の関係上、T+3等となることもあるとか。また、買入消却入札に係るフェイル時の取扱いについても現行どおりとなるようである。

 国債など金融商品の決済期間の短縮は、未決済残高を減少させ、結果として決済リスクを削減するための有力な手段となる。たとえば急激な相場変動が起きた際にも決済不履行などの事故が生じる決済リスクを軽減させられる。

 国債の決済は1988年に稼働した「日銀ネット」を通じて行われている。金融機関同士が行う資金取引の決済や国債など証券取引の代金の決済や、民間決済システムの最終的な決済に、日銀の当座預金での振替が利用されている。日銀が金融機関との間で行っているオペレーションや貸出し、国庫金の受払い、国債の発行・償還に伴う資金の受払いなどについても、日銀の当座預金を介して決済が行われている。日銀はこうした資金や国債の決済が安全かつ効率的に行われるようにするために、コンピュータ・ネットワークシステムを構築し、これが日銀ネットと呼ばれる日銀金融ネットワークシステムである。これは日本の金融そのものを支えている基盤とも言えるものである。


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by nihonkokusai | 2012-02-03 09:27 | 国債 | Comments(0)
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