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10年以上前に指摘されていた為替介入の非不胎化議論の意味のなさ

 日銀は2001年7月から12月にかけて開催された日銀の金融政策決定会合の議事録を発表した。今回発表された議事録の中で、2001年9月18日開催の際は9月11日の米国での同時多発テロ後の会合であり、かなり注目度も高かったことで、この議事録の内容を確認してみた。その前に、当時の様子を私のメモからご覧いただきたい。

 財務省は2000年4月3日以来の為替介入を実施したが、介入に際して「介入資金も利用して、潤沢な資金供給に努めていく方針」と日銀はコメント。非不胎化を匂わしながらも「市場調節方針を実現するため介入資金も含め全体としての資金供給額を決定している」とも発言。そもそも介入資金を非不胎化しようがしまいが日銀はどちらにしても毎日大量の資金供給を実施している。どの部分が介入の非不胎化によるものなのかはっきり区別もつけづらい。それでも今日の非不胎化に関するコメントが相場に多少なりインパクトも与えたようである。」 (「債券ディーリングルーム」2001年9月14日のコラムより)

 2001年9月18日に開催された日銀の金融政策決定会合の議事録の最後に以下のような興味深いやりとりがあった。

 財務省の代表として出席していた村上財務副大臣から次のような発言があった。
「総裁すみません。ちょっと厚かましいが、記者会見でお願いしたいのは例の非不胎化について、うちのほとんどが介入資金を回収せずと言っているので、記者会見では一つよろしくお願いする。誠に厚かましいお願いだが。」

 これに対して、三木委員(当時)からは、
「それはやはりそうあるべきだと思う。実際にこの段階では余り意味のない議論だが必要だと思う。」

 中原伸之委員(当時)
「だけど外国は凄く注目している」

 植田委員(当時)
「ただ言える表現は、介入資金も利用して円滑な資金供給を行っていく方針ということであろう」

 介入の際の非不胎化論議に関しては、いまだにマスコミなどで取り上げられることがあるが、このやりとりを見てもあまり意味のないことであるのがおわかりであろう。非不胎化うんぬんはあくまで日々の日銀の資金調整に紛れてしまうものであり、そもそも意味のない議論なのだが、何故か外国、いやマスコミなどが「凄く」注目していることで、「介入資金も利用して円滑な資金供給を行っている」との表現で、いかにも非不胎化を行っているかの如く発言が、いまだに行われているというのもどうかと思うのだが。


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by nihonkokusai | 2012-02-02 08:16 | 日銀
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