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今後の新規国債発行額の予測と金利変化の影響

 財務省は「平成24年度予算の後年度歳出・歳入の影響試算」という資料を発表した。

http://www.mof.go.jp/budget/topics/outlook/sy2401a.htm

 これはいくつかの前提条件の元に機械的に出したものであり、現実の数値とは乖離してくる可能性があるが、今後の国債発行額の行方などを見る上で、ひとつの判断材料ともなる。

 今回の試算では「社会保障・税一体改革素案」及び「中期財政フレーム(平成24年度~平成26年度)」を前提とした上で、2012年度予算が2015年度までの歳出・歳入に与える影響を機械的に試算したもの(試算1-1)、その前提なしに、平成24年度予算における制度・施策を前提とした後年度負担額推計等に基づき、平成24年度予算が平成27年度までの歳出・歳入に与える影響を機械的に試算したもの(試算1-2)。また、それぞれのファンダメンタルズの条件を変化させたもの(試算1-1と1-2は名目経済成長率1%台半ばを前提、試算2-1と2-2は同3%程度を前提)に分かれている。

 試算1では長期金利の前提は2.0%として計算されたものであり、ここでは現状のファンダメンタルズに近いこの試算1で、今後の国債発行の行方などについて見てみたい。

 試算1-1(消費税引き上げ込み、名目経済成長率1%台半ば)での、予算の総額は2012年度90.3兆円、2013年度91.9兆円、2014年度98.2兆円、2015年度101.4兆円となっている。税収は2012年度42.3兆円、2013年度42.7兆円、2014年度49.7兆円、2015年度52.8兆円。

 その他収入を差し引いた差額は、2012年度44.2兆円、2013年度45.7兆円、2014年度45.3兆円、2015年度45.4兆円。

 この差額がそのまま新規国債の発行額となるわけではないが、新規国債発行額の目安となる数字であることは確かである。

 この差額分は試算1-2(消費税引き上げ織り込まず、名目経済成長率1%台半ば)では、2012年度44.2兆円、2013年度47.2兆円、2014年度49.1兆円、2015年度50.8兆円となる。

 これを基礎的財政収支(プライマリーバランス)でみると、試算1-1は、2012年度22.3兆円、2013年度22.3兆円、2014年度19.8兆円、2015年度18.2兆円。試算1-2は2012年度22.3兆円、2013年度23.7兆円、2014年度23.6兆円、2015年度23.5兆円となり、この差額、つまり収支改善額は、2013年度1.4兆円、2014年度6.5兆円、2015年度8.1兆円となる。

 このように消費税の引き上げにより、プライマリーバランスが改善されることは確かであるが、今後の国債発行額を見る限り、消費税の引き上げを加味してもなお毎年度45兆円規模の新規国債が発行される計算となる。ちなみに名目経済成長率3%程度を前提とし消費税の引き上げを加味した試算でも、差額部分は2012年度44.2兆円、2013年度45.4兆円、2014年度44.6兆円、2015年度44.3兆円と44兆円以上の規模が続くものとなっている。当然ながら新規国債の発行増により日本政府の債務そのものは増加する。それに対して国内資金で賄える額には限度があることも事実であろう。

 そしてもうひとつ気にすべき数値もある。2013年度以降、長期金利が変化した場合の国債費の増減額である。そもそも今回の試算は長期金利の2.0%がひとつの基準となっている。それに対し実際の長期金利は1.0%以下となっており、1.0%程度の余裕を持った試算であり、デフレの状況、さらに日本国債への信任が継続する限りにおいて、2.0%でも高く見積もりすぎとなるかもしれない。しかし、欧州の信用不安のようなことが日本でも絶対起きないとは言えず、ある程度の長期金利の上昇を前提とした数値も抑えておく必要もあろう。なんといっても国債残高が膨らんでいることで、その分、長期金利の上昇の影響を受けやすくなっていることも確かである。

 これについては前提からの変化幅がプラス1%の場合、国債費の増加は2013年度が1.0兆円、2014年度2.4兆円、2015年度4.1兆円。そしてプラス2%の場合、国債費の増加は2013年度が2.0兆円、2014年度4.9兆円、2015年度8.3兆円となる。反対にマイナス1%の場合には、2013年度が-1.0兆円、2014年度-2.4兆円、2015年度-4.1兆円となる。

 ギリシャやポルトガルはさておき、昨年のイタリアの長期金利の上昇を見ても、いったん上がり出すと一気に上昇することがわかる。日本の長期金利の場合には、この試算の前提にある2.0%が実は大きな節目ともなっており、ここを超えてくるようであれば金利上昇のピッチが早まる懸念もある。その際にわずか1%の金利上昇でも、これだけ影響があるということを、念のためチェックしておく必要があろう。


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by nihonkokusai | 2012-02-01 09:36 | 国債 | Comments(0)
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