FRBが物価目標としたPCEデフレーターとは何か
米商務省が発表している個人所得(Personal income)、個人消費支出(Personal consumption expenditures)、PCEデフレーター(Personal Consumption Expenditure Deflator)は米国の経済指標の中にあって、注目されるもののひとつである。公表日時は毎月下旬の東部時間午前8時30分(夏時間:日本時間午後9時30分、冬時間:日本時間午後10時30分)である。
ネットでチェックするには、下記米国商務省経済分析局のサイトにある「National」をクリック、その中の「Personal Income and Outlays」に最新データがアップされる。
http://www.bea.gov/national/index.htm
これは米国の個人の所得と消費について調査した指標であるが、このうち個人所得とは、社会保険料を控除し実際に個人が受け取った所得のこととなる。この個人所得は消費動向を決定付ける大きな要因ともみられている。賃金給与・賃貸・利子配当等といった所得の構成項目や、可処分所得・貯蓄率なども同時に発表される。
個人消費支出(PCE)とは1か月間に実際に米国の個人が消費支出した金額について集計したものであり、米国のGDPの7割を占める個人消費の動向は米経済にも大きな影響を与えることで注目されている。特に名目個人消費支出の前月比などが注目される。
名目個人消費支出(名目PCE)を実質個人消費支出(実質PCE)で割ったものが、個人消費支出(PCE)物価指数もしくはPCEデフレーターと呼ばれるものであり、これも同時に発表される。PCEデフレーター変化率がプラスであれば物価上昇、マイナスであれば物価下落と捉える。
特に価格変動が激しいエネルギーと食品を除いたものを「コアPCEデフレーター」と呼び、FRBが物価指標の中で最も重要視している指標のひとつとなっている。その理由としては消費者物価指数に比べて、バイアスが生じにくいためといわれている。
2007年11月にFRBは金融政策の透明性を高めるための追加措置を発表して、この中で、経済見通し(Economic Projections)の発表回数をこれまでの年2回から年4回に増やし、予測の対象期間も2年間から3年間に拡充し、物価に関してさらに新たな指標として、「個人消費支出(PCE)」の全体価格指数を加えている。これにより、PCEのうち食料とエネルギーを除いたコアPCEでみたFRBの物価見通しも発表されることになった。
さらに今回、FRBは物価の目標(ゴール)を、PCEデフレーター(前年比)の2%に置いた。今回、FRBがコア指数ではなく総合指数を使ったのは、足下物価動向を見るにはコア指数が良いが、長期的に見ると総合指数が適切と判断したものと思われる。
参考までに昨日発表された12月のPCEデフレーターは前年比でプラス2.4%となり、FRBが目標(ゴール)とする2.0%を上回っている。
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