牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

31年ぶりの貿易赤字とそれによる日本国債などへの影響

 25日に発表された貿易統計によると、2011年の貿易収支は2兆4927億円の赤字となり、31年ぶりの貿易赤字となった。

 財務省の報道発表によると、「輸出は自動車、半導体等電子部品等が減少し、対前年比2.7%の減少となった。また、輸入は原粗油、液化天然ガス等が増加し、12.0%の増加となった。その結果、差引額はマイナス2兆4927億円となった」とある。

 東日本大震災によるサプライチェーンの寸断で自動車などの輸出産業に影響が出た事に加え、欧州の信用不安に伴う円高の進行や海外の景気減速、さらにタイの洪水被害なども、輸出の減少に影響を与えたものと思われる。

 さらに福島原発事故の影響により、火力発電所の燃料となる液化天然ガスなどの輸入が大幅に増えたことから、輸入が大幅に増え、その結果、日本は1980年以来、31年ぶりの貿易赤字に陥った。当面は輸出が急回復する可能性も薄く、原発の再稼働の見込みも立たないことで液化天然ガスなどの輸入も継続するとみられ、貿易赤字の状況は続く可能性が強い。

 すでに2011年1月から11月までの貿易赤字は2.3兆円程度となっており、年を通じての貿易赤字は避けられないとの見方は強かった。つまり市場ではある程度想定していたはずであったが、24日の海外市場ではWSJの「日本の輸出大国時代の終わり」などの報道もあり、日本の貿易赤字転落が意識され、円が主要16通貨のうち12通貨に対して下落し、ユーロ円は101円台に乗せ、ドル円も一時77円85銭まで円安ドル高が進んだ。

 欧州の信用不安は多少緩和されつつあるものの、ギリシャの債務交換協議が難航するなど予断は許さない状況にある。しかし、市場のマインドは以前に比べ改善してきているのも確かであり、安全資産として買われていたドイツ国債、米国債、英国債などには戻り売りが入ってきている(ちなみに25日の米債はFOMCの声明受けて買い戻されているが)。このため日本の貿易赤字転落をきっかけとして、安全資産への資金流入の反動から、円売りに流れが傾いた可能性がある。

 円高の流れが修正されることは、日本の輸出企業にとっては悪いことではない。東京株式市場にとってもプラス要因とされると思われるが、多少の不安感も伴う。これをきっかけに、今後、日本の国際競争力の低下などが意識されると、海外投資家による日本株などへの投資に影響を与える可能性もありうる。

 そして、債券市場にとってこの貿易赤字転落が、今後の経常収支の赤字を連想させかねないことに注意する必要がある。すでに経常収支の黒字幅は減少傾向にあるため、いずれかの時点で赤字に転落するであろうとの予想も出ている。経常収支が赤字となれば、国内資金で日本国債を賄うにはそろそろ限界に近づいたことを印象づける懸念もある。それを見越してすぐに日本国債を売ってもまた、踏まされる(空売りして、高いところで買い戻して損失が発生すること)だけであり、オオカミ少年はまだまだ健在であろう。

 とはいえ、本物のオオカミが霧の彼方からやってくるのが感じられるだけでも市場は恐れを抱くことにもなる。そんなマインド変化が現れると市場の動きはあらたな展開を迎える可能性もある。オオカミを引き寄せることのないようにするにはどうすれば良いのか。そのあたりも含め、今国会における消費増税の行方などにも注目する必要がありそうである。


*** 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ、通称、牛熊メルマガでは毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。毎営業日3本届いて、価格は税込で月額1050円です。登録申込当月分の1か月は無料でお読み頂けます。ご登録はこちらからお願いいたします。
http://www.mag2.com/m/0001185491.html

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp




[PR]
by nihonkokusai | 2012-01-26 09:34 | 景気物価動向 | Comments(2)
Commented by keiko at 2012-01-27 07:45 x
お早うございます。
週刊誌で話題になってるネットの闇株新聞をご存知でしょうか。円安にする為に日銀は量的緩和を思い切ってやり、日銀当座預金の利息もゼロにすべきと主張してます。私が利息無しでは銀行が日銀の買いオペに応じないとコメントしたところ、流動性確保、金利を下げることなく国債が売れる、日銀と良好な関係を維持する目的で銀行は応じると反論してます。管理人さんはどうお考えでしょうか。1月26日、27日の記事です。
Commented by nihonkokusai at 2012-01-27 09:59
「円安にする為に日銀は量的緩和を思い切ってやり」というところに、意見の相違があると思います。結果として銀行の当座預金残高を増やすような政策で円安誘導できるというのであれば、すでに現在の当預は30兆円越えて、量的緩和政策のころの水準にあり、それで円安に向かってもおかしくはないとの理屈になるかと思います。円の供給量と為替の連動性に関しては白川総裁が何度も指摘しています。
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー