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「中学生のための個人向け国債の賢い買い方 その3」


第3話「ペイオフ解禁」

「起立、礼、よろしくお願いいたします。着席!」

 今日はペイオフ解禁についてお話しよう。「ペイオフ解禁」といってもいったい何を言っているのかさっぱりわからないよね。ペイオフはもうみんな英語習っているので、なんとなくわかると思うけど「支払い」とかの意味だよね。じゃあ、解禁ってなんだろう。何か禁止されていたことが再開できるといった意味となるよね。アユ解禁とか。アユと言っても、髪の毛を黒に戻した浜崎あゆみのことじゃないからね。

 それではいったいペイオフ解禁とは何を解禁したのだろうか。解禁ということは、何か禁止されていたものがあったはずだね。この話をする前に、先日の郵便局の話の続きを少ししてみたい。なぜみんな郵便局にお金を預けるのか。その大きな理由のひとつに安全性がある。

 郵便局は今度、民営化される。それならばこれまではどうだったのだろうか。昔は郵政省という国の組織があったように、まさに国の機関だったわけなんだ。1円切手の肖像にもなっている前島密という人が明治時代に日本の近代郵便制度を作ったんだね。えっも知らない?。そうか今は切手収集なんて流行っていないものなあ。昔の子供たちは、切手を集めることが大流行だったんだ。「見返り美人」とか「月に雁」とかが貴重でなあ。えっ、脱線するなって。その切手も郵便局で売っているんだぞ。

 何を言いたいかといえば郵便局に預けたお金は国が保障してくれていたわけだ。これほど安心なものはない。えっ、政治家は信頼できないし国は破産するんじゃないかって。国の借金がめちゃくちゃ多いことは確かだし、政治家への信頼性の問題もあるのかもしれないけど、民間に預けるよりはずっと安全なものであるのは確かなんだ。

 それじゃあ、銀行に預けるということは危険なのかって。危険という言葉が適切かどうかわからないけど、民営化される前の郵便局に比べれば、リスクは高いともいえる。でも、実は銀行に預けていた人たちは、暗黙のうちにそれは絶対安全であると思い込んでいたんだ。良く考えてごらんよ。銀行がお金を貸すときには、すごい審査が必要なんだよ。ご両親の中には住宅ローンを組んだり、ご商売しているところは銀行かせお金を借りている人も多いはずだけど、そりゃたいへんな手続きが必要になるんだ。

 ところが、私たちが銀行にお金を貸す(預ける)際には、銀行の審査なんかしてないよね。その銀行が何やっているのかなんて調べもしないし、むしろ預ける方が手続きさせられるぐらいだよね。まさに貸すんじゃなくて金庫代わりに預けているという感覚が強いはずだよね。

 ところがどっこい、この銀行というか金融機関も破綻するという事実が発覚してしまったんだな。1995年3月に東京協和信組と安全信組というところが解散した。原因は乱脈経営だったんだけど、これで国会は大混乱。なぜかって?、みんな金融機関は安心だと思い込んでいたところでの破綻騒ぎ。そして、金融機関の破たん処理に対しての原則すらないことが明らかになったんだ。この年の7月にはコスモ信金に対する東京都の業務停止命令があり、8月には兵庫銀行と木津信組の経営破綻が明らかになった。兵庫銀行の場合は戦後初の銀行破綻ということになってしまった。

 そこで乗り出したのが国なんだ。金融機関が万が一破綻しても預金は全額守らますから!と、預金全額保護の特例措置が取られるようになった。それではそれまではどうなっていたのだろうか。1971年に預金保険法というものが制定されて、預金保険制度というものが出来た。これによって金融機関の破綻に際して、預金保険制度に基づいて、預金者には保険金として預金の一部を支払いたしますよ、ということになった。これが先ほどの「ペイオフ制度」なんだ。この制度は1971年に支払い限度額100万円でスタートし、1986年には上限額が1000万円に引き上げられていた。ところが、いざ金融機関が破綻してしまったら、みんな不安になってしまった。当時はすでに金融機関が多額の不良債権を抱えていることが知れ渡り、信用不安が広がってしまう恐れがあるとされたんだ。友達だっていったん信用できないとなったら、なかなか信用取り戻すのは難しいよね。お金の問題にはこの「信用」ということがたいへん重要な要素にもなっているんだ。

 それはともかく、こりゃたいへんなことにと、国が慌てて預金全額保護の特例措置という手段に打って出た。これによって預金保険制度が凍結されてしまったんだ。これをペイオフを凍結といった表現をされたことで、これがあらためて解禁されることになったものなのでペイオフが解禁されたと言うわけなんだ。いやあ、言葉ひとつとってもなかなか奥が深いことがわかるよね。何人か、眠りが奥深い生徒もいるようだが。

 1996年には、2001年3月末までの間、特例措置として預金の全額を保護することが決められたんだ。誰が保護するんだろうね。えっ、国。そうそう、でもよーく考えよう、お金は大事だよ、じゃなくてそれは政治家が身銭を張ってがんばってくれるわけじゃなく、私たちの税金が投入されることとなるわけだ。なんてことはない、私たちがお金を貸してあげている銀行を守るために、私たちの貴重な税金が使われてしまうという、なんか変な話となってくるわけだ。でも信用不安が起きたらそれどころじゃないだろうと言われれれは、そういうものかと。

 さらに大きな銀行と比較して相対的に経営体力の劣る中小の地域金融機関から預金などが流出する可能性が高いと政府は判断したことで 1999年末に再び2002年3月末までペイオフ凍結を延長することにした。これもなんか無理に理屈付けしたようにも思われる。そして2002年4月にペイオフの部分解禁が行われて、定期性預金は定額保護に戻ったんだ。

 でも当座預金や普通預金、別段預金といわれるものの全額保護の期間は2005年3月末まで2年間延長されることとなった。そして、 2005年4月にやっとペイオフが全面解禁されたというわけた。これでペイオフ解禁とは何かってこと、わかったかな。今日はペイオフ解禁の話だけでだいぶ時間を取られてしまったようだ。でもこれで多少、預金といったシステムが理解できたんじゃないかな。今度は預金や貯金と投資との違いについてお話したい。では、今日はこれまで。

「起立、礼、ありがとうございました。着席!」
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by nihonkokusai | 2005-11-04 09:43 | 国債 | Comments(0)
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