牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

EFSFのサイトには日本語の説明書がアップされている

 13日に格付け会社のスタンダード&プアーズ(S&P)は、ユーロ圏9か国の格付けを一斉に引き下げ、フランスとオーストリアの格付けも1段階引き下げられた。これにより、フランスとオーストリアは最上位格付けを失った。

 そして16日にはまた欧州金融安定ファシリティー(EFSF)も格下げされた。S&PはEFSFの発行体格付けをAAAからAA+に1段階引き下げ、見通しはデベロッピングとした。そしてEFSFの長期債券格付けもAA+に引き下げている。

 これを受けてEFSFのレグリングCEOは、EFSFの実質融資能力を4400億ユーロに維持する方針を表明し、 ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)のユンケル議長も、EFSFの支援能力を低下させるものではないと指摘した。

 ここであらためてEFSFに関して確認しようとしたところ、興味深い資料が用意されていた。EFSFのサイト中の「Investor relations」のページを見ると、「Download our investor presentation (Japanese version)」がアップされていたのである。

「日本語の説明書」が置いてあるEFSFサイトのページアドレス
http://www.efsf.europa.eu/investor_relations/index.htm

 なぜか欧州機関のサイトに、英語以外で日本語バージョンだけがアップされているのである。これはなかなか興味深いが、この理由は日本政府の動きにあろう。

 日本政府は今年1月6日の入札まで、過去6回行われたEFSF債の入札全てに参加し、合計で35.35億ユーロを購入している。これまでのEFSF債発行額210億ユーロの17%に相当する。つまり、日本政府向けに用意されたとみられるプレゼン資料が、そのまま日本語バージョンの説明書としてサイトにアップされたとみられる。

 EFSFに関しては上記の説明書がまさに公式のものであり、詳しいことはこちらを確認していただきたいが、簡単にEFSFについて説明したい。

 EFSFとは「European Financial Stability Facility」の略で、日本語では「欧州金融安定ファシリティー」と呼ばれている。

 欧州金融安定基金は、2010年5月のギリシャ危機を踏まえて、EU(欧州連合)の加盟国によって合意されたユーロ圏諸国の資金支援を目的とした基金である。ルクセンブルクに本部を置き、株式会社として登録されている。ただし、今後は恒久的な危機対応の機関として、今年7月に欧州版のIMFともいえる「ESM(欧州安定メカニズム)」がEFSFの業務を引き継ぐ予定となっている。

 EFSFは、ユーロ圏各国の政府保証を裏づけに債券を発行し、それによって得た資金により支援を行なっている。この際に発行される債券、EFSF債は主要格付け会社からトリプルAの格付けを取得していたが、今回、S&Pは格付けをAA+に1段階引き下げた。

 EFSFの債券発行には、ECBへの払込資本金の割合に応じて決められたユーロ圏諸国の保証を受けている。EFSF債がAAAの格付を得るためには、EFSF全体の保証枠のうち、AAA国の拠出分が融資可能額となる。当初の保証枠の4400億ユーロでは2500億ユーロしか利用できなかったため、保証枠を7800億ユーロ程度に拡大させたことで、4400億ユーロまで融資可能額を引き上げた。

 このため、もしフランスなどの格付けがAAAを失えば、4400億ユーロの融資可能額が引き下げられ、その分、ドイツなどAAA国の負担が増加する懸念が出ることになる。しかし、現在のところ格付け会社一社だけの格下げでは、融資可能額には影響は及ばないとの認識のようである。昨日実施されたEFSF債で初の6か月物入札も順調な結果となっている。


*** 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ、通称、牛熊メルマガでは毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。毎営業日3本届いて、価格は税込で月額1050円です。登録申込当月分の1か月は無料でお読み頂けます。ご登録はこちらからお願いいたします。
http://www.mag2.com/m/0001185491.html

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp




[PR]
by nihonkokusai | 2012-01-18 08:25 | 国債 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー