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日本の銀行が日本国債を買い支えている理由

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 日銀が発表している資金循環統計によると、2011年9月末時点の国債保有者(国債・財融債のみ、国庫短期証券は含まず)の最大の保有者は銀行など民間預金取扱機関となっており、金額で284兆2743億円、全体に占める割合は38.0%となっている。

 そして、民間の保険・年金が185兆4285億円の24.8%、公的年金が70兆3370億円の9.4%、日本銀行が63兆6166億円で8.5%、海外が47兆4040億円の6.3%、投信など金融仲介機関が39兆8137億円の5.3%、家計が29兆4916億円の3.9%、財政融資資金が8817億円の0.1%、その他26兆9444億円の3.6%となっている。

 民間預金取扱機関とは預金を取り扱っている金融機関、つまり銀行であるが、ここには、ゆうちょ銀行も含まれる。2011年3月末時点でゆうちょ銀行は146兆円の国債を保有しており、民間預金取扱機関の約半分程度をゆうちょ銀行で占めていることになる。ただし、ゆうちょ銀行の国債保有額は総資産そのものの頭打ちなどもあり、ここにきて国債保有額は減少傾向にある。

 しかし、それでも民間預金取扱機関のシェアが高水準を維持しているのは、メガバンクなどへの預金が増加しているにもかかわらず、貸出が伸びず、その資金が国債に向かっていることが大きな要因となっている。

 ここで日銀が発表している金融経済統計月報を元に、国内銀行(ゆうちょ銀行は除く)の貸出金、国債保有額と実質預金の推移を確認してみた、

 これによると銀行の貸出金は1997年の493兆円をピークに減少、2004年に404兆円となったがそれ以降はやや増加し、2010年は420兆円となっていた。貸出が頭打ちになっている半面、実質預金は年々増加しており、たとえば1997年には475兆円であったのが、2010年には578兆円にまで膨らんでいる。

 貸出金と実質預金が逆転したのは1998年から1999年にかけてである。そして銀行の国債保有は1999年あたりから増加し始めていた。

 バブル崩壊の後遺症ともいえる不良債権問題により国内での金融システム不安が一気に表面化したのが1997年であった。また、1998年はじめにはアジアを皮切りに、南米諸国やロシアにまで金融危機が波及した。

 1998年には格付け会社ムーディーズによる日本国債の格下げがあり、年末には国債価格が急落した資金運用部ショックが起きている。

 金融システム不安などにより、貸出そのものが抑制され、個人の資金は安全とみられた預金に向かった。また、非金融法人企業、つまり一般の事業会社もリストラなどを進めた半面、設備投資などを抑制し、その結果余剰資金が生まれ、その資金が預金へと向かった。

 その資金を預かった銀行の資金運用先も、貸出の低迷もあり、より安全性を求めて国債となったのである。また、バブル崩壊によるデフレや、それに対処するための日銀の金融緩和などから、資金が国債に向かいやすくなっていた側面もあり、銀行による国債保有が増加した。

 資金運用部ショックの際には、大蔵省の資金運用部の国債引き受け等が減少することが明らかになり、一時的な国債需給への懸念が国債急落の引き金になっていた。しかし、実際には国内銀行という受け皿がそのときに出来つつあったのである。

 国債残高が増加してもその受け皿が存在し、資金運用部ショックをきっかけに財務省の国債管理政策もさらに進展したこともあり、国債市場における需給等への不安心理は次第に後退した。その結果、日本の長期金利は2%を超えることなく低位安定することになったと言えるのである。それは裏を返せば、もし国内銀行が日本国債を買わなくなるような事態になれば、大きな受け皿がなくなることを意味している。


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by nihonkokusai | 2012-01-06 10:02 | 国債 | Comments(1)
Commented by rurie at 2012-01-06 22:38 x
明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。

個人的には銀行(特に地銀!)の貸し出し金の内容について
それが正等に利益を出しているか、焦げ付いているか
疑問の目を向けたいと思います。
去年の東電とオリンパスの件もありますし
仙台以外の地方都市で景気が良いと言う話も聞きませんので。
中小企業金融安定化法案が延長されたのは
吉と出るのやら凶と出るのやら・・・?

とはいえ中々個人で出来ることには限界があるので
チェックしつつも海外投資の比重を増やすというのが
現在の方針な訳ですが。
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