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消費増税の行方と日本国債

 民主党は29日、税制調査会・社会保障と税の一体改革調査会の合同総会を開き、消費増税について、合意にこぎつけた。

 29日の15時過ぎに開始された合同総会は、途中、インドから帰国した野田首相も参加し、休憩を挟んで約9時間に及ぶ協議の末、執行部への一任を取り付けた。

 ただし、総会に出席した野田首相は消費税率の引き上げについて、党内での反対意見が強いことを踏まえて、素案のたたき台で示した引き上げ時期を半年遅らせ、2014年4月に8%に引き上げたうえで、2015年10月に10%とする素案の修正案を提示した。

 さらに衆議院の議員定数を80削減するための法案などの早期成立を図るとともに、経済状況によっては税率の引き上げを停止する規定を盛り込むなどしたことで、この修正案が了承されたのである。

 今回の民主党の消費増税を巡る長時間に及ぶ議論をみると、ユーロ圏の首脳会議における議論を思い起こさせる。時間をかければ良いということではないが、ある程度議論を戦わせ、その結果、方向性を導き出さざるを得ないのは、主義主張が異なる議員、もしくは異なる国の代表者が集まる会議では致し方のないところなのであろうか。

 消費増税の時期を半年遅らせることで、その分、財政再建の時期が先送りされることとなり、また、基礎年金の国の負担分を二分の一に維持する財源の問題等もあるが、なにはともあれ消費増税案が民主党内で消滅するような事態とならなかったことは好感したい。

 しかし、これからが大変であろう。すでに増税に反対する議員が次々に民主党を離党し、離党者は今後も増加する可能性がある。そして、野党の自民党や公明党はいまのところ消費増税の協議に応じる構えを見せておらず、衆議院の議員定数削減方針などに対して一方的だとして、反発を強めている。

 ただし、自民党は消費増税そのものには反対はできないはずである。消費増税を先送りし、財政再建そのものも先送りしてきたのは自民党政権の頃からである。2011年度までにプライマリー・バランスを黒字化させるという目標を立てていたのは、ほかならぬ自民党政権であったはずである。

 しかし、ねじれ国会となっている以上、過去の事はさておいて、そう簡単には自民党も賛成はしてこないであろう。それをどのような格好で国会で法案を通すのか。そもそも法案成立ができるのか。これは来年における大きな注目材料となろう。

 財政再建に向けて最低条件として消費増税があり、これだけで財政再建が可能になるわけではなく、さらなる踏み込みも必要となる。日本国債がすぐに危険な状況に陥ることは、現状考えづらいが、年間50兆円規模の新規国債を5年、10年と発行し続けていけば、いずれ国債が国内資金で賄えなくなることが、目に見えている。経常黒字の縮小化も懸念されるなど、決して未来永劫、日本国債は安泰とは言いがたい。安泰であるうちに手を打たなければ、危機が来てからでは対処のしようがなくなる。

 いまのところ消費増税の動向はあまり国債市場には影響を与えてはいないように見える。ただし、それを売買している担当者にとっては、まったく無視できるものではないはずである。市場は機械的に動いているのではなく、市場参加者の不安や期待、そして信用等により価格(利回り)が形成させていることを為政者も肝に銘じておく必要があろう。


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by nihonkokusai | 2011-12-31 10:23 | 国債 | Comments(0)
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