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今年の債券相場を振り返る(10月から12月編)」

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 10月に入り、ベルギー・フランス系金融機関のデクシアは解体され、欧州の銀行に対する懸念が強まった。欧州の債務問題に関する報道などにより、市場はかなり神経質な展開を続けていた。ドイツとフランスの利回り格差がユーロ導入後最も広がるなどしていたが、日本の債券市場は次第に小動きとなり、債券先物は142円から143円のレンジの中での方向感に乏しい展開が続いた。

 10月27日の日銀の金融政策決定会合では、資産買入れ等の基金を5兆円程度増額する追加緩和策を決定した。欧州の首脳会議は難航しながらも、包括的な対策の3つの柱を主体とする包括戦略で合意し、28日の日本の債券先物は142円11銭まで下落したが、下値もやはり限られた。

 10月31日の早朝、ドル円は一時75円32銭をつけて過去最高値を更新した。これを受けて政府・日銀は8月4日以来の円売り介入に踏み切った。為替介入により31日の日経平均は9100円台に上昇し、債券先物は一時142円を割り込む場面があったが、それも一時的なものとなった。

 31日には米国の金融大手のMFグローバルが連邦破産法11条の適用を申請。同社はイタリアやスペインの短期国債に積極的に投資し、それが裏目に出た格好に。

 ギリシャのパパンドレウ首相が、包括戦略を受け入れるかどうか国民投票を実施するという考えを突然示したことで、欧州の債務不安が再び強まり、11月1日の米10年債利回りは2%を割り込み、2日に日本の10年国債利回りも再び1%割れとなった。しかし、今度はパパンドレウ首相の辞任観測が流れ、ギリシャの国民投票の可能性が薄れた。

 11月8日にイタリアのベルルスコーニ首相が辞意を表明、9日には証券決済機関のLCHクリアネットが、イタリア国債の証拠金を引き上げたことから、イタリアの10年債利回りが7%台に上昇し、アイルランドやポルトガルが金融支援を余儀なくされた水準である長期金利7%という分岐点を突破した。11月9日の米株式市場では金融株を中心に大幅な下げとなり、ダウ平均は389ドル安となり、10日の東京株式市場も大幅下落となった。債券先物は一時143円台に乗せる場面もあった。

 11月16日のユーロ圏の債券市場では、フランス国債の格下げの噂などからフランスとドイツの利回り格差が過去最高水準に拡大し、オランダやオーストリアなどの国債の上値が重くなるなど、信用不安が中核国にも及んだ。17日の日本の債券先物は143円14銭をつけて直近の高値を更新しこれが今年の債券先物中心限月の最高値となった(12月28日現在)。10年債利回りも0.940%まで低下した。17日のユーロ圏の債券市場では、今度はスペインの10年債利回りが6.8%近辺に上昇し、危機水域の7%に迫った。

 11月21日から東証は債券先物においてTdex+システムを稼働した。これに合わせ債券先物の取引時間が、前場が8時45分から11時2分、そして後場は12時30分から15時2分に、イブニングセッションは18時の終了時間が23時30分まで延長された。

 11月23日にドイツの10年物国債の入札が札割れとなり、ドイツ国債10年物の利回りは2.06%近辺に上昇した。ユーロ圏内の国債の中で最後の砦となっていたドイツ国債まで下落し、ドイツ国債だけでなく最上位格付けのフランスやフィンランド、オランダの国債も下落し、欧州の信用不安が周辺国から中核国まで拡がりを見せた。25日の日本の債券市場では、ドイツ債の下落により不安感も強まったことで、10年債利回りはあっさりと1%台に上昇した。

 11月30日に欧州危機の深刻化に伴い欧州系金融機関を中心にドル資金の調達コストが上昇していたことに対応し、日米欧の主要中央銀行は市場に対する資金供給の拡充策を決定した。これが好感され、この日の米国株式市場でダウ平均は490ドルもの上昇となり、この株高などから米債は売られ10年債利回りは2.07%近辺に上昇した。

 12月1日の日本の債券先物も売りが先行し、一時141円52銭まで下落し、10年債の利回りも1.090%まで上昇した。債券先物は17日の高値143円14銭から12月1日にかけて、1円62銭の下落となったが、これは先物のシステム変更の影響というより、ドイツ国債札割れによる影響が大きかったと言える。

 12月5日に格付け会社のS&Pはユーロ圏17か国のうちドイツなど15か国の格付けを格下げ方向で見直すと発表し、また7日に欧州連合(EU)の格付けをクレジットウォッチ・ネガティブに指定した。

 12月8日のECB理事会では政策金利を0.25%引き下げて年1.0%にすると決定したが、市場が期待した国債買入拡大はなく、欧米の株式市場は下落し、質への逃避からドイツ国債や米国債は買われた。これを受けて9日に中心限月となった債券先物3月限は買い進まれて142円台に、また10年債利回りは1%近くまで低下した。

 12月8日から9日にかけて開催されたEU首脳会議では英国を除く26か国が基本条約とは別の新たな財政協定に参加する意向を表明した。しかし、この結果に対しては期待はずれと認識された。欧州の信用不安は収まらず、13日にユーロ円は101円台をつけた。14日にはユーロ・ドルが1.30ドルを割り込んだ。質への逃避から米債は買い進まれ、15日の日本の債券市場も買いが入るが先物は142円台半ばあたりまでとなり、上値も重くなった。

 12月19日の正午に北朝鮮の金正日総書記の死去が伝えられた。地政学的リスクが意識されたことで、アジア株が下落し、東京株式市場も売られたものの、一時的なものとなった。

 12月21日に格付投資情報センター(R&I)は、日本の外貨建て・自国通貨建て発行体格付けをAAAからAA+に引き下げると発表した。日本の格付け会社が日本国債の格付けを引き下げるのは初めとなったが、債券相場への影響はほとんどなかった。

 年末にかけては、欧州の動向とともに日本の消費増税の行方が大きな焦点となり、その動向に注目が集まった。しかし、相場そのものはあまり大きな動きはみせず債券先物は142円台でのもみ合い小動きが続いていた。


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by nihonkokusai | 2011-12-30 08:33 | 債券市場 | Comments(0)
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